取材

先日、自身の記事を見たというサービス業に関する生産性向上の専門家がホテルに来館され、インタビューを受けました。

その流れで、旅館やホテルの専門新聞の編集者の方を紹介頂き、5月に一面の記事になることになりました。

ホテル管理アプリである「HoteKan」の宣伝になるのであればと思い、お受けさせて頂きましたが、現状の宿泊業界を救う起死回生の(赤字を出さない)打ち手を聞かれ、困ってしまいました。

正直に、「そんなものはありませんよ」と答えてしまいました。

マーケティングの改善や広告などによる売上の増加、コスト削減による収益の改善、いずれのPLに効果のある打ち手をしたところで最大で10%ほどでしょう。コロナによって減少した宿泊人数は40~60%減です。売上も同じく40~60%減になります。

となれば、これまで利益率が10%出ていた宿泊施設(10%でも多い方です。。)においても、固定費比率が高いこの業種においては、最低20~30%は赤字になります。

まん延防止の延長が戦争の裏でしれっと行われ、マラソンやコンサートなどのイベントも縮小、予約キャンセルがバシバシとやってきます。こんな中で赤字を出さずに済む収益改善のウルトラ施策などあるわけないのです。

PLである程度まで被害を最小化する仕組みを作ったら、後やれることはBSの調整のみです。

つまりは、回復の兆しが見えるまで如何にキャッシュを温存し続けられるかが焦点になってくるのです。

にも関わらず、多くの宿泊企業で、「グランピング」やら「テント」やら「サウナ」を助成金や特別融資を用いて作っています。キャッシュを温存しなければいけない時期に、お金をモノにどんどん変えてしまっているのです。

平時に関しては、キャッシュがあって設備投資が新たな収益に繋がる場合は、どんどんやってもいいと思います。

ただ、今は平時ではなく有事です。

こんな死んでいる期間にキャッシュを放出してしまえば、本当に稼働しなければいけないタイミングでガス欠(金欠)となってアクセルも踏めず運営不能となります。

でも、殆どの人が売上が下がると平時の時の売上を上げる施策をやりまくってしまうのです。これは人間の心理でもあるかもです。落ちた金額を何とか埋めようとしてしまいます。

慣性の法則ともいえるかもしれません。

そんなことをついつい専門新聞の編集者の方にお話しして(単に愚痴って)しまい、大変恐縮でした。。編集者の方も困ったと思います。

「これまでのBSの調整をどれだけやっていたかが全てです」と答えてしまったのですから、窮地になっている宿泊企業にとって、今何をしたら良いか聞きたいのに、それはあんまりな回答です。

なのでもう一度、「今、宿泊企業が何をしたら良いか」を聞かれた際に、新しい事業を作って別の収益を作るしかないと答えました。

自身も、宿泊事業は疫病と国の気まぐれな施策によって、不条理に振り回される事業だとこの2年痛いほど痛感しました。(経営努力など一瞬で踏みにじられます。)であれば、そうではない事業を模索して作るしかありません。

自分自身は、「中小企業×DX」は一つの鍵かと思っています。

DXの「デジタル(定量)」部分を普段の仕事の中で如何に抽出するか、分析の前に、まず生データをどう入手するかを仕事のプロセスの中で如何に考えられるかがポイントだと思っています。

5月の記事がどんなものになるか検討がつきませんが、編集の方の力に頼ろうと思います。

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