「KONMARI」から学ぶ事業戦略

現在、アメリカのNetflixで配信され大ブレイクしている「こんまり」こと近藤真理恵さんの著書「人生がときめく片づけの魔法」を今更ではありますが、初めて読んでみました。

内容は非常に合理的で、色々な手法を現場で数多く試された結果、導き出された「クリスタライズ(とことん磨かれ洗練)された仮説」の教科書でした。対象は「」の中にある「モノ」でしたが、この本に書かれている内容は、対象を「モノ」から「」、「会社」に変換しても全て通じる内容だと思いました。

1.まずは捨てるを終わらせる、そして捨てる前に理想の暮らしを具体的に考える

これは言われれば普通に思いますが、かなり強烈な言葉だと思いました。
「人」であれば「なりたい姿」ですし、「会社」であれば「Vision」をまずは具体的に考える所から始めなさいと言っています。そして、その後「捨てる」。会社であれば、「Vision」に関係のない事業をやめる、撤退することを先にする。目指したい方向でないもの、テンションが上がらないものは「やらない」。

事業ポートフォリオ戦略の基本である「選択と集中」を先に一気にやるということです。戦略コンサルティング会社にいた時も、これほどドラスティックに事業戦略を描いたことはあまりありません。どちらかというと、今ある事業をなるべく活かす方向で、他の企業の事業とのシナジーを考えたり、コスト削減などに注力し、Visionから多少離れてしまった事業もなるべく安定的になるようなベクトルに施策を検討していたと思います。ただ、「こんまり流」で言えば、それは「捨てる」もしくは「卒業」すべきものだったと教えてくれます。

2.場所別ではなくカテゴリー別に一気に判断する

これも「会社」に置き換えれば、自社の事業整理を行う上で、拠点別に分析するのではなく、事業カテゴリー別や事業機能(部署)別にまとめないと判断は出来ないと言っています。また、「人」であれば、銀行口座や証券口座、不動産の場所別ではなく、金融商品の種類別に整理して判断するべきと言えるでしょうか。

3.難易度の低いものから始めることで判断力を少しずつ着けていく

ときめくか、ときめかないかの判断をする対象を難易度の低いものから実施していく事の重要性を説いています。具体的には、衣類(トップス→ボトムス→ジャケット→靴下→下着→バッグ→アクセサリー→イベントもの→靴)→本→書類→小物→思い出の品(写真)で進めるべきとありました。これは、具体的なPDCAをとんでもない数で回した検証結果だと思います。

もし、この「会社」バージョンがあれば、どの事業機能から判断していくと良いかが分かるかもしれません。例えば、間接部門(経理→総務→法務→人事→IT管理)→直接部門(販売→営業→製造→開発)などの順番で実施すればやりやすいなどが分かると面白いと思います。

4.いつか読むつもりの「いつか」は永遠にこない

これは本に関しての捨てる判断時の言葉ですが、これも「人」「会社」ともに言えます。仕事の出来る人は、メールや仕事の対応がとても速いです。ボールを長い時間持ちません。100点でなくていいので、直ぐに打ちます。一方で仕事が出来ない人は、今は忙しいから「あとで(いつか)やろう」とタスクを後回しして、新しい仕事がその間に追加で入ってきてしまい、結局そのタスクを忘れてしまって人の信頼を失うという悪循環が往々にしてあります。

5.引き出しを開けた時に、何がどこにあるか一目でわかるように整理する

これは、データのファイル整理やSlackなどのチャネル設定の際にも全く同じ事が言えると思います。全体構造がMECE(漏れなく重複なく)に整理されていると、保存する際や出力する際の迷い時間が圧倒的に削減され、人が増えた分だけ効果が発動します。迷い時間が1分と1秒では59秒も異なり、100人いれば59,000秒、1日10回アクセスすれば590,000秒=163時間分になります。

6.モノをストックしない

これは在庫とも言えると思いますが、安い時に買っておけばお得と思って、個人だけでなく会社もまとめ買いをして倉庫にしまっておくパターンはよくあります。ただ、これは結局倉庫代を考えれば、全くお得ではありませんよと言っています。ストックしておけば、当然モノが劣化しますし、使わなくなる可能性もあでてしまいます。更に、必要なモノを購入しに行くことで、その際に新しいモノゴトとの出会いの可能性も出ます。

必要なタイミングで必要に応じて購入する形で良いというこの発想は、まさにトヨタの「かんばん方式」です。家や会社に在庫を多く持ちたがる人は、現状に不安がある、もしくは満たされていないことからの行為だと、こんまりさんは言っています。(私の実家には、トイレットペーパーが200ロール近く保管されています。。)

7.部屋での恰好(部屋着)や過ごし方がその人のオーラ(醸し出すイメージ)を決定する

これも非常に勉強になる言葉です。素の状態が実際のその人の本来の姿ですので、部屋という素の状態でいられる場所での振る舞い自体がその人だという事です。

会社で言えば、ブランディングと同値かと思います。PRや広告といった目に見える部分での見せ方の部分ではなく、実際の会社の現場のサービスに滲み出る態度や会社の雰囲気・メンバー自体がその会社のブランディングを形成しているという事です。こんなサービスをやっていますと目に見える形で広告を出すよりも、本当に信頼され、その会社のイメージとして醸し出されるのは実際のサービスの中での対応の中にあるという事です。

片づけ=片をつける」という視点で、人の生活に関わる「モノ」にフォーカスをして、凄まじい数の現場数とPDCAを回して出来た論理は、どの分野にも応用・アナロジーの効く内容だと思いました。

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