学生

昨日は、日曜日の夜に名古屋のスタートアップ関連の方とスタートアップを目指す大学生と一緒に会食をしました。

主催は、500globalのプログラムで講師をして頂いた方で、今後名古屋を中心にスタートアップエコシステムを構築していくと宣言されていました。国内のVC20社を名古屋に集め、調達したいスタートアップがメンタリングを受けたり、ピッチをしやすい環境を作り、お金を出したい資本家と社会を変革する起業家を繋げていくと言われていました。

一応、自分はその名古屋のスタートアップの一人として呼ばれていたようでしたが、ただ何とも居心地は悪い感じでした。

調達をして、上場をし、大きい規模にスケールアップして、社会を変革しないと志が低いと言われている気がして、更にそれを聞いている学生が目をキラキラさせているのを見て、何だかマルチ商法の会場に来てしまったかの錯覚を起こしました。

保守的な名古屋に起業家精神の風が起こるのは、全然いいことですし嬉しいことなのですが、何でもかんでも起業バンザイ、上場バンザイというのは、闇が深い感じがします。

既に大きな成功を収めた起業家経験者がそうした場所(エコシステム)を作っていくのであれば、納得感も説得力もありますが、スタートアップに詳しいだけの人、VCや調達に詳しいだけの人、そうした分野に知り合いが多い人がたまたま人選され、「新しい時代を作っていこうぜ」的な先導をされると正直ちょっと引いてしまいます。

ただ、起業家養成プログラムに参加する名古屋の素直な大学生は、「そうだ!俺たちも頑張るぞ!」と血気盛んです。話を聞いてみると、「100兆円の企業を作ります」といった学生や「自分は何でもできると思うので、一番良いルートで進んでいきたいと思うのですが、どうしたらよいですか」など、とても純粋な学生でした。(以前、500globalに選抜された中に大学生のスタートアップの人と話をした際、その人達は既にVC調達も完了しており、驚くほど緻密な思考が繰り返され、鋭く疑いを持った質問や洞察力を持っていました。)

こうした学生に対して、スタートアップかっこいいを吹き込むのは、なかなか罪深いのではないかと思いました。

自分自身もこうした学生から色々質問を貰ったり、アドバイスを求められましたが、話していて正直疲れてきてしまいました。

若い人達に対して「こうすると良いよ」とか、「自分はこうしたことをやってきた」等の武勇伝を話す事は20代後半の頃は楽しいものでしたが、40歳を目前として過去だけを話すのはかなりしんどくなってきました。

何より楽しくないのです。

それよりも、こうした事をやろうと思うけど、どうやったら良いかや、誰に話を持っていくと早く物事が進むか等の未来に関する具体的な話をしている方がよっぽど楽しく疲れません。

今回気付いた事は、日曜日の夜に自分が楽しいと思えない相手と会食するのは精神的にも肉体的にもダメージが大きい事と、自分自身はエコシステムの仕組み自体を作る側にはあまり向いていないという事です。

今年度の反省を踏まえて、来年度は適切な人と適切なタイミングを選び、ゆっくり話をしたいと思います。

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