問題解決のプロジェクトやお題に対して、よく出てくるワードとして「仮説」と同じように「構造化」があります。
「構造化」とは単純に言えば、物事や事象を「上位」の対象と「下位」の対象に要素分解し、さらにこれを詳細化することを言います。図にすると、ツリーのような形になります。
たとえば、単体であれば「人間」を「男性」「女性」と要素分解し、更に「男性」を「年齢が30歳未満」、「年齢が30歳以上」と分解するような感じです。
事象であれば、「売上が下がっている」を「単価が下がっている」と「販売数量が落ちている」に要素分解するような感じです。俗にこの要素分解を数学で習った「因数分解」と呼ばれることもあります。
そもそも、この「構造化」とは何のためにするのでしょうか。
おそらく人間は同時に複数のことを考えることが苦手なので、物事をなるべく分かりやすいレベルまで分けて一つずつ考えようということから来ていると思います。
例えば、「売上が下がっている」だけだと、次に何をしたら良いか具体的な打ち手を考えることが難しいですが、「単価」と「販売数量」に分けて考えれば、それぞれ具体的に「いつから、どれくらい単価が下がっているのか」や「販売数量が下がった原因は何か」と集中して深堀って考えることができます。更に「単価」や「販売数量」も細かく要素分解して、下位の構造を増やしていくこともできます。下位の構造を増やす利点は、細かく分解されているので、より具体的になっており、実際に施策を取り掛かるのが容易になることです。
つまり、「構造化」とは抜け漏れなく、理解しやすいように「分ける」ということになります。(実際に「理解する」という意味で「分かる」と使われるのはそういう事だと思います。)言い方を変えると、理解しにくい分け方は意味がないということでもあります。ただ、「構造化」自体には一意に決まる正解はありませんし、何よりも前提として何を「上位要素」として捉えるかが全てでもあります。
この「構造化」の考え方は、問題解決のプロジェクトやビジネスにおいてだけでなく、色々な分野で活用することが可能です。
例えば、面接やインタビューの場面で、質問者の質問内容を聞いているだけでどれくらいの構造化を頭の中で行って質問しているかが丸わかりになります。
レベルの高いやり取りになれば、質問者もわざと「上位要素」の質問を投げかけて、それに対して回答者がその「上位要素」から構造化した「下位要素」の回答を抜け漏れなく答えるという応酬をします。(もしくは「上位要素」から構造化した「下位要素」に答える形を再度「上位要素」に戻して回答するようなこともあります。)
逆に、構造化が出来ていない質問者の場合は、とても些末な「下位要素」の質問を複数質問してきて、結局抜け漏れだらけの何が聞きたかったのか分からないインタビューになります。
または、質問者も回答者も構造化して考えていない場合は、ふわっとした質問をして、ふわっとした回答をする、なんだか良くわからない場になったりもします。(例.「この商品はどうですか?」→「いいと思いますよ。」)
アンケートなども同様です。アンケートの質問が具体的な施策を打てる為の「下位要素」の質問になっていなければ、アンケートを集計した後、使いようがありません。
「構造化」は日常の中でいくらでもトレーニングができますので、ある問題やイベントが起きた時に「構造化」して解決策を考えてみると良いかもしれません。