ホテル運営=ビルメン

先週の金曜日は、ホテルにて大変な緊急事態が起こりました。

その日、館内に走っている電気ケーブルを全て新しいものに新設する工事を行っていました。7時間くらい停電にして交換作業を行いました。通常であれば、1日休館とするのですが、連泊滞在のお客様も見えたので、チェックイン時間を18時に遅くしてもらい何とか営業しながら実行しました。

電気ケーブル自体は問題なく作業が終わり、17時には電気が復旧しました。お客様も待っていらしたので、全館のお湯が出るかをチェックした後、チェックインを始めようと思いました。

しかし、そこで問題が発生しました。客室からお湯が出ません。

30分、1時間と出しっぱなしにしても水のままです。急遽、屋上の貯湯槽と給湯機の様子を見に行くと、貯湯槽の外側の金属が捲れ上がり、風に煽られプラプラしていて、更に中の断熱材が飛び出していました。

また屋上は水浸しとなっており、給湯機も2台故障しています(全部で8台連結)。

一気に頭が真っ白になりました。今日のお客様だけでなく、当面営業が出来なくなる可能性がよぎったからです。

とりあえず、現状把握をしようと貯湯槽を確認。貯湯槽のお湯の温度は25℃、圧力は0Mpsにてお湯が貯まっていません。貯湯槽に穴が空いていたらお終いです。

急遽、業者さんにも来て確認してもらった所、貯湯槽や給湯機は死んでいない、二次ポンプからのお湯漏れはあるが、お湯はちゃんと作られていると分かりました。貯湯槽の外側の金属は貼りなおさないと危ないですが、貯湯槽自体には穴は空いてなさそうとの見解でした。

急遽、客室のお湯出しを全て停止させ、貯湯槽にお湯が貯まるのを待つことにしました。すると1時間ほどで貯湯槽のお湯の温度が40~50℃まで上がりました。お客様からも客室からのお湯が出たと連絡があったようで、何とか最悪の状況を抜ける事ができました。

7時間も停電状態だったため、貯湯槽のお湯は全て水に変わっており(特に寒い冬場で)、それをお湯にするまで2時間はかかる、更に客室のお湯を全てチェックの為に出してしまったため、余計に時間がかかったという事がお湯が出なかった原因でした。

ただその場では状況が全く分からずほぼパニックに近い状況にて、正確な判断がその場で直ぐに出せませんでした。お客様に他のホテルを案内するかどうかもギリギリまで悩みました。結果的に、お客様には謝罪のみにて全員客室で滞在頂ける形にできました。

この経験で、日々の設備の状況把握(耐久年数や劣化状況)、修繕計画が改めて必須だと思いました。

ホテルの場合、建物のインフラ(電気、お湯、水、空調、防災設備など)が一つでも死んでしまえば、全ての商品(客室)を売る事が出来なくなります。

緊急事態宣言も出て、ホテルはどこも稼働が激減している中、徐々に閉館を検討している所も増えてきています。その多くは40年や50年といった築年数のホテルや旅館です。

結局、どんなに綺麗な内装や完璧なオペレーション、マーケティングだったとしても、インフラが修繕できない場合は継続して売れない(運営できない)のです。

ホテル運営は10~15年超えると、まさにビルメン業です。

建物の修繕は思ったよりもお金がかかります。今回の電気ケーブル1本換えるだけでも200万円です。修繕計画は少しずつ長いスパンでやっていくものですが、これだけ長い期間コロナで売上がなくなると大きなインフラ修繕にお金が出せません。

「歴史のある」「味のある」ホテルや旅館がこのコロナ禍によって、修繕できず閉館に追い込まれるのが非常に切ないです。

関連記事

  1. 見た目だけで味覚を変えられる?

  2. 冬至

  3. 緊急事態宣言の延長

  4. 初めちょろちょろ中ぱっぱ

  5. 出張

  6. コロナの求人への影響

  7. 記録って、案外難しい。。

  8. 秋と人事

最近のBLOG

  1. 2024.05.21

    SusHi Tech Tokyo
  2. 2024.03.19

    TRY ANGLE EHIME
  3. 2024.01.2

    仕事始め
PAGE TOP