前回の記事で「効率的な学習方法」について書きましたが、「効率的な仕事方法」についても考えてみたいと思います。
正直、裏技的な仕事方法など無いと思いますが、ホテルの支配人業を始めてから、一つ仕事のやり方が変わったことがあります。それは、「決められるものは、その瞬間に決める」という事です。
ホテルの仕事の特徴的なこととして、「チェックアウト時間」と「チェックイン時間」があります。うちのホテルでは、チェックアウト時間が午前10時、チェックイン時間が午後3時になります。この午前10時から午後3時までの約5時間で、客室や設備を完全に準備できた状態にして、お客様を迎えなければいけません。
客室の備品が壊れているとか、トイレが壊れているなど、なんらかの問題が分かるのもこの時間帯になるので、解決できる時間は更に短くなります。
そうなると、「客室が売れなくなることの機会損失と設備投資コストを天秤にかけた上で、投資計画の方向性について、まずは検討しましょう」などと、いちいち会議をしている場合ではありません。機会損失による金額とお客様への信頼へのダメージ、設備投資コスト、修繕部材の在庫、専門業者による修繕依頼と到着時間、自分で直せるかどうか、などを一瞬で判断して、直ぐに解決する必要があります。
実際に、今日も午前10時から「客室の浴室の洗面所の下にあるプラスチックカバーが取れかけている」事象に対して、どう直すか、現物を見てその場で直ぐに最適な判断をする必要がありました。結果、一時的な解決を本日中に行い、2日後に根本的な解決を行う段取りにしました。
こうした内容は一日の中でも何件も起き、「後で考えます」は通用しません。「その場で原因と解決策を考え、直ぐに段取る」しかないのです。
実際に、仕事の8割は、この「とにかく早く問題解決する」ことだと思います。
一方、残りの2割は、「しっかりじっくり考えて作り上げる」ことです。
そして、8割にもあたる「とにかく早く問題解決する」仕事は、とにかく早く「決める」ことです。これが出来ないと延々と決まらない会議を無駄に続ける事になります。
ホテル時間で仕事をしていると、否が応でも5時間以内には解決しなければいけないので、この直ぐにその場で「決める」という事が当たり前になりました。この習慣は、(半強制的でしたが)自分にとって非常に効率的な仕事方法として獲得できたと思っています。
なので、もしあなたが「一度持ち帰ってから、またご連絡します」と毎回言っているとしたら、たまには「その場で決めてしまう」のも有りかなと思います。(ただ、その場合に注意すべきは、的確な判断を出来るように普段から色々なシミュレーションを事前に考えておかなければいけないという事ですが。。)