この1年ほど損益分岐と睨めっこした年もなかった気がします。
制御不能な売上減少に対して、対抗できる唯一な施策は出ていくコストを売上よりも下げる事です。
ただ、固定費などビジネスモデルによっては難しい業種も沢山あります。特に自身も運営するホテル業界は、固定費の塊のようなビジネスモデルですので中々調整するのは大変です。
ただ、損益分岐点さえ下回らなければ、事業は継続できます。一時的にでもコストの重荷を出来る範囲で下げ、回復期に利益の出た分で初めて攻めのコストとして使っていけばダメージを最小限に復活することができます。(ダメージを吸収するキャッシュは必要となりますが。。)
ホームラン狙いよりも失点を防ぐ
こういう時期は、ド派手なホームランを連発して狙っていくことよりも、失点(コスト)を抑えて1点差でも良いので売上が上回れば、試合に勝っていけるのです。
メディアに出てくるのは派手なホームランバッターが多いですが(内情を知っていると無理しているんだなと思う事も多々ありますが。。)、ファイナンス的に強固すぎてびっくりする企業はメディアにも出ず名前も知らない地味なヒッタータイプが多い気がします。(愛知県は特にコア技術を持った優良無名企業が多いです。)
脳に効くという目的で、個人的にランニングを2年前から地味に週2~4回、1回あたりも3km以内と気楽な感じで続けていますが、走行距離を見るといつの間にか750kmほどになっていました。一発逆転ホームラン的に一気に走ろうとしても流石に750kmは1日で走れません。まさに地味につづける事の驚異的な累積パワーを感じています。
「うさぎ」が向いている時、「亀」が向いている時
20代から30代前半にかけては、短期間集中で寝ずにやれば何でもやれるといった感じで、うさぎと亀で言う「うさぎ」のやり方でやっていましたが、ここ最近は「亀」のやり方が増えてきた気がします。
システムの変更や新しい事業の立ち上げなどは「うさぎ」のやり方が適していると思いますが、組織の成長やオペレーションの改善、CSの改善などは「亀」のやり方が適していると思うようになりました。
新卒コンサルティングファーム出身者の多くが「うさぎ」のやり方に慣れ過ぎて、ベンチャーや企業に入っても組織を継続的に成長させる部分でまるで価値が出ないのはそのせいな気がします。自分自身もそれで何度も失敗しました。
人は直ぐに変わるわけではないので、人を変えるのではなく、仕組み自体を変えて少しずつ「亀」のやり方(個別に毎日少しでも話す等)で浸透させていくことが一番の近道だと気づくには相当時間がかかりました。
日々の損益分岐、ランニング、組織改革など、「亀」のように少しずつ地味につづけることで出てくる価値は、もしかすると短期的な成功よりも大きいのかもしれません。