ホテル業界は変わらず厳しい状況が続き、大手ホテルの資産売却やビジネスホテルチェーンの民事再生などがいくつか出てきています。
しかし、本当に厳しくなるのはこの後です。
5月以降、雇調金がなくなるとすれば、月のキャッシュフローは更に厳しくなり、人材を手放す必要も出てきます。更に4月以降、昨年からの借入返済が始まる為、昨年度にどれだけ温存しているかで大きく変わりますが、本年度中での月次利益が出なければ、キャッシュの枯渇もしくは債務超過になる可能性が高くなります。
地方の旅館などは残り3ヵ月~6ヵ月が限度といったところが多いようです。都市型のビジネスホテルも財務的なダメージが累積しています。ある中堅ビジネスホテルチェーンで60億円、他のビジネスホテルチェーンも50億円の借入を昨年から追加しており、海外展開分は既に撤退準備を始めているそうです。
当ホテルも昨年度はコストを限りなく抑え、無理くり黒字を出すことが出来ましたが、ろくに設備投資(修繕含む)もできておらず、本年度に入ってからは月次収益は赤字が続き、財務的ダメージが徐々に増えてきています。
業界全体のビジネスモデル(収益の仕組み)が崩壊しつつあります。「勝ち残り戦」というよりは、「生き残り戦」になってしまいました。一方で、ワクチン普及率の高いアメリカでは、出かける人も増えてきているようで、ホテルの稼働率も夏前には大きく上がってくると予想されています。
残念ながら、日本でのワクチン普及率の低さと進捗の遅さを鑑みると、稼働率の回復はまだまだ時間がかかりそうで、1泊いくらのビジネスでは立ちいかず、複数店舗持っているホテルであれば、法人1ヵ月利用し放題のようなマンスリー的サブスクリプションモデルになっていくかもしれません。実際に、マンスリーマンションの稼働率は上がっているようです。
実際にうちのホテルのお得意様だった企業がマンスリーマンションや社宅を借りて、ホテルを利用しなくなったケースも既にいくつか出てきました。生き残りをかけて、損益分岐点を引き続き低く低く抑えながら、ギリギリの状態まで我慢を続け、状況が変わるタイミングを見計らって徐々に反転していくしかなさそうです。その際に十分な人材で対応できるように、人材だけは確実に温めておきたいと思います。