これまでにないサービス開発を行うスタートアップ業務や宿泊業、清掃業といった従来から世の中に存在するサービス業務を行う中で気づいたこととして、やっている内容は全く異なりますが、日々の業務のフェーズに関しては同じような「アナロジー」があると思いました。
仕事における微分と積分
それは、数学で言うところの「微分」と「積分」です。
数学的な意味において、微分とはある微小な区間(⊿x)での変化の大きさ(⊿y)を測ります。一方、積分はある区間での積みあがった量を測ります。
これを日常生活に置き換えてみると、微分は「勢い」や「テンション」、「徹夜仕事」、「瞬間風速」といった言葉になり、積分は「積み上げ」や「ルーティン」、「To do」、「実績」、「習慣」といった言葉に読み替えられます。
一見とても魅力的でカッコいい「微分」ですが、毎日「微分」のような生活を行っていると身体にガタがきてしまいます。私も10年ほど前はコンサルティング会社で毎日朝の3時くらいまでテンションのみで3年間ほど仕事をしていましたが、結果、血管年齢が50歳を超え、脳梗塞となり健康を害しました。(今は昨年から続いているランニングの甲斐もあって、非常に健康です。体脂肪率も10%切ってきました。)
なので、スタートアップベンチャーの場合も、毎日勢いだけで事業を長期的に継続的に成長させることは難しいです。そこで、一見凡庸でネガティブにも聞こえる「ルーティン」、つまり「積分」業務が重要になってきます。
微分でピポット、積分で信用を積み上げ
流れとしては、微分フェーズで新しいフォーマットや業務方式、組織体制を一気に作った後、積分業務によって微分業務で作ったフォーマットに従って日々積み上げていきます。
ある程度積みあがったら、初めて形となり、お客さんにも感想を聞く事ができ、表に出す(マーケティングする)ことができます。そして積分業務を通じたフィードバックによって、微分業務で作り上げたフォーマットにおいて足りていなかった点や間違っていた部分に気づくことができ、再度微分業務を行い方向転換(ピポット)をすることができます。
どうしても人は、テンションの上がる仕事や直ぐに結果が見える仕事である微分業務についつい魅かれてしまいますが、積み上げである日々の積分業務がなければ、中身を作ることができず、信用という(マーケティングしなくてもお客さんが来てくれるという意味で)最高のブランディングを手放してしまうことになります。
私も基本的に微分業務が大好きではありますが、日々の中に強制的に積分業務を組み込んで、いざ微分業務を実施するときのパワーの源泉として活用しています。(ランニングも昨年の12月から累計で250kmになりました。1日(微分)では絶対に250km走れませんので、これこそ積分パワーといった所です。)