前回の記事「脳内物質を活用した仕事効率化」において言及した脳内物質について、具体的にどのようなものがあって、どんな時に、どうすれば分泌されて、どういう効果を出すかについて調べてみました。
【攻めの脳内物質】
1.ノルアドレナリン【短期】
2.アドレナリン【短期】
3.ドーパミン【中期】
4.アセチルコリン【長期】
【守りの脳内物質】
5.セロトニン【中期】
6.メラトニン【短期】
【攻守最強の脳内物質】
7.エンドルフィン【短中長期】
脳内物質自体は多くありますが、まずは良く聞く上記7つの脳内物質について整理してみました。
初めに、「1.ノルアドレナリン」ですが、短期的な攻めの脳内物質です。恐怖や強い不快を感じると分泌されます。例えば、大きい声で叱責や注意されたりすると発動されます。時間帯で言うと、昼間の日中に分泌されやすいです。脳と神経が短期的に鋭くなり、判断力が増加します。
例えば、夏休みの宿題を1日で全部やらなければいけない時などに発動されます。ただし、無理やりブーストをかけている状態なので、長時間・長期間分泌し続けると脳が疲れてしまい、更に神経が壊れます。結果ドーパミンが四六時中出ていると、無気力になったり、鬱になります。
同様のタイプとして、「2.アドレナリン」があります。これも短期的な攻めの脳内物質になります。ノルアドレナリンとほぼ同じなのですが大きな違いとしては、効果の部位が主に「心臓」や「筋肉」の身体と集中力と判断力に特化しています。極度の緊張やストレス時に分泌されます。例えば、多くの人が見ている試合や舞台、プレゼン時などに発動されます。火事場の馬鹿力もこのアドレナリンの影響によります。
大きな声で叫んでも自然とアドレナリンが分泌されます。運転中に眠くなったりした場合は、大きな声で叫べばアドレナリンが出て一時的に眠気は飛びます。ただし、効果時間は約30分です。それ以上、分泌し続けると、アドレナリンジャンキーとなって心臓に負担がかかり、心臓疾患や脳卒中、糖尿病、癌、鬱を引き起こします。
実際に自分もコンサルティング時代、ワークジャンキーとなり、アドレナリンが長時間出っぱなしの状態になりました。結果、高血圧になり脳梗塞を発症しましたので、自分の身体で実証済です。
原始時代からそれほど変わらない脳としては、明るい日中に緊急ストレスに対応できるアドレナリンを発動しやすいように仕組化されているため、夜間にアドレナリンを出し続けていると、体内の免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなり、更に肥満や糖尿病になりやすくなります。なるべく寝る二時間前にはアドレナリンをオフにするか、休みの日は完全にリフレッシュさせてオフスイッチを入れるようにしなければいけません。
一方、中期的な攻めの脳内物質として、「3.ドーパミン」があります。ドーパミンは目標を立ててやろうとする前と、目標を達成し報酬を得た時の2回分泌される幸福感を感じる脳内物質です。例えば、美味しいご飯屋さんを検索して食べに行くと、計画しているときに1回、実際に食べて達成して更に美味しい報酬で2回出す事ができます。
また、運動をするだけでも分泌することが出来ます。他にもRPGゲームなども完全にドーパミンが出る仕組みです。「レベルを上げる→経験値とお金を獲得→新しい装備を買う→小ボスを倒す(小目標達成)→レベルを上げる→繰り返し→最終ボスを倒す(大目標達成)」というサイクルがあるが為に、レベル上げという(不毛な)時間もドーパミンによって楽しい作業となります。
また、時間制限を持たせることによってもドーパミンが出やすくなります。例えば、日常業務に関して普段時間を決めずに淡々とやっているとすれば、時間を測って30分以内に〇〇を終わらせると決めてから実施(達成)するとドーパミンが出やすくなります。
具体的な小目標を立て、仕事を上手く細切れにして、更に時間制限をして日々業務を変えるだけでも、何も考えずに淡々と業務をするよりもRPGゲームのように楽しく、効率的に作業することができます。小目標を達成したら、自分なりのご褒美(〇〇を食べに行く等)を設定してあげると更に効果的となります。
マネジメントの方であれば、小目標を達成する度にチームメンバーを評価したり褒める事で、チームメンバーのドーパミンをコントロールすることができます。
もう一つの長期的な攻めの脳内物質として、「3.アセチルコリン」があります。これは、上記のアドレナリンやドーパミンとは異なり、脳の認知能力やクリエイティブ力・ひらめき力に効果を出します。アセチルコリンの出し方としては、下記の方法が効果的になります。
1.好奇心を刺激する
2.外出する(もしくは座ったままでも手足を動かす)
3.普段の作業机以外の場所で考える(例:お風呂・トイレ・乗り物・ベッドなど)
4.禁煙する(ニコチンはアセチルコリン代替となってしまい、自力でアセチルコリンが作られなくなります)
5.30分以内の昼寝をする
アセチルコリンが分泌されやすいのは、ノルアドレナリンやアドレナリンとは異なり、午後から夜間さらには寝ている時間(浅い眠りのレム睡眠時)にかけてになります。
ですので、新しいアイデアや企画、もしくは芸術作品や音楽、デザインなどを創る時は、午後から夜にかけての時間に、外に出て散歩しながら行うとアセチルコリンが分泌されて効果的と言えます。アセチルコリンが分泌されることで、異なる階層の情報と情報の新しい組み合わせが脳内で起こり、新しいアイデアやひらめきが生まれます。ただし、こうしたひらめきの内容は一瞬で忘れてしまうように出来ている為、直ぐにスマホなどにメモしておくと良いです。
次回以降の記事にて、残りの「守りの脳内物質」「攻守最強の脳内物質」について書きたいと思います。