「構造化」や「仮説」など、これまで事象を「考える」上で有効な方法を紹介していましたが、ほとんどの仕事が「考える」と「伝える」はセットになっていると思います。
「伝える」手段としては、大きく分けて「書く」と「話す」があります。
「書く」ことで伝える方法は、資料を作ったり、ホワイトボードに書いたり、サイトに記事として投稿したり、本や雑誌などがあります。「話す」ことで伝える方法は、ミーティング、インタビュー、プレゼンテーション、講演、動画投稿などがあります。今回は、「書く」の中でも、仕事上よく利用する「資料作成」について、整理しておきたいと思います。
「資料作成」の一番のコツは、相手に分かりやすく「伝える」ことができるように作成する事です。
分かりやすく相手に伝える為には、資料自体の構成をしっかりと構造化しておく必要があります。
資料は普通複数ページにわたって作成される事が多いと思いますが、大きく構造化すると5つの階層に分けることができます。「上位階層」から「マテリアル」→「パッケージ」→「スライド」→「チャート」→「メッセージ」の構造です。
「マテリアル」は最終的な資料全体のことです。
「パッケージ」は1ページ毎の組み合わせによって出来る一つのストーリーの塊(複数ページ構成)です。
「スライド」は1ページの資料のことを言います。
「チャート」はスライドの中身にあたる表やグラフや画像などになります。
「メッセージ」はスライド(1ページ)の伝えたい内容を要約した言葉です。
このように資料も構造的に作成し、ダラダラと複数の意味のないページ(参考資料のようなページ)を集めただけの資料を作らないようにすることが重要です。
具体的には、1ページ(スライド)には1つの言いたい事(メッセージ)だけにして、中身(チャート)もメッセージと関係ない画像やテキストは一切入れないようにすると非常に分かりやすくなります。
例えば、「アンパンマンの宿敵はバイキンマンである」というメッセージのスライドを作った時に、「かびるんるん」や「ドキンちゃん」をチャート(ページの説明画像)に入れてしまうと内容がボケてしまいます。
そして「より単純に」、「意味あるものだけに」、「統一した表現に」することを意識して資料作成すると、より相手に「伝わる」資料ができます。
「より単純に」の例としては、「初めに結論を簡潔に示し、後からその補足説明をする」、「無くても伝わる語句は削除する」、「熟語や英語で省略できる内容は省略する」などがあります。
「意味あるものだけに」の例としては、「伝えたい内容が一番表現されているグラフ形式を選ぶ」、「テキストや数字で見せるべきか絵や画像で見せるべきかを伝える内容に応じて選択する」などがあります。
「統一した表現に」の例としては、「テキストのフォントやサイズ、太さ、色は資料内のルールに従って統一する」があります。実際にフォントや太さや色を何のルールもなく、バラバラに使っている資料ほど分かりにくいものはありません。また、1ページの資料の中で、左上から右下に沿って内容が詳細化していく表現が最も分かりやすい書き方になります。
資料作成のコツは色々とありますが、最も効果的な訓練方法は、他の人が作った資料の中から「分かりやすい資料」と「分かりにくい資料」を直観的に判断して、「分かりやすい資料」を作る人の書き方をとにかく真似ることが良いと思います。