2014年の年始一発目に衝撃的な相談を父から受けてから、一度東京に戻り、FRINGEの抱えていた仕事を全てやり終えた後、クライアントに事情を話し一時的に新規の仕事を受けられない旨を説明しました。
そして、2014年の5月に名古屋にふたたび戻り、ホテルの支配人兼社長になる準備を始めました。
直ぐにはホテルの現場に入らず、1週間ひたすら部屋に籠って戦略を練り続けました。
初めに、ホテルの創業時から今までの決算書を洗い出し、PL・BSをExcelにまとめました。
そして、これまでの売上推移と理由、1年間の月毎の売上変位と理由、これまでの営業利益率の推移、稼働率の推移、コストの比率と推移の分析、毎月のキャッシュフローを売掛金、買掛金と支払サイトから分析、借入金の変動と返済状況、インターネットの旅行代理店(楽天、じゃらん、JTB、その他)の口コミの点数について、まずは数字で分かる会社の状況から分析しました。
次に、宿泊業という業界について、本やインターネットで出ている外部情報を集めて、ターゲットセグメント別での施設やサービスレベルの違いを階層に分けて理解しました。
その後、改めて自社情報の把握に戻り、ホテルの客室数、客室種類、自動販売機の場所、数、種類、製氷機、アメニティ、防災機器の場所・機能、朝食会場の構図、朝食メニュー、チェックイン時間、チェックアウト時間、フロントの基幹システム、清掃の仕方、リネンの種類、事務所の複合機からパソコンの種類、働いているスタッフの名簿、これまで働いていたスタッフの変動、スタッフの勤務時間と勤務内容、支配人業務内容、クレジットカードの使い方、現金の取り扱い方法、オンラインバンクでの支払・記帳データの確認の仕方、帳簿のつけ方、インターネットの口コミ内容、ホテルに関わっている全ての業者リスト・連絡先などなど、とりあえずホテルの現場に入る前に知る事が出来る内容を父に質問を一つずつぶつけて整理しました。
その中で改めて分かった事は、やはりこのままでは「ヤバい」という事でした。
上記の内容が「資料」や「データ」としては、どこにも存在しておらず、全て父の頭の中だけにある暗黙知になっていました。それも「なんとなく」の経験上の暗黙知であることが多く、何かを判断するときの情報(例.「なぜこの年にこの設備投資をしたのか?」には明確な理由はない)は全て曖昧でした。
そして、それ以上にヤバかったのが、「このホテルがどうありたいか?」の方向性が特に無いということでした。「とりあえずやっている」だったのです。これでは、隣近所に競合ホテルが出来たり、名古屋に泊まる人が少なくなった瞬間に、このホテルは吹き飛んでしまうと思いました。
5月GW明け、実家の自分の部屋で上記のデータ分析を行うと同時に、「このホテルのあるべき姿」について一人でうんうんと考え始めました。
「これは現場に入ったら、もっとヤバいものが見えるんじゃないだろうか。。」
現場に入る前日の夜、そんなことを考えながら布団に入りましたが、有難くも予感は見事に的中しました(笑)