妻の実家は製造業を営み、名古屋に本社、東京、大阪に営業所、愛知、静岡に工場を持ち、国内外の完成品メーカーにコアモジュールを納めています。その会社も養父が70歳を超え、事業承継を考えなければならない時期となりました。
結果、1年後に妻の姉が承継する形にて、妻と私で経営に関するサポート(相談役)を行うことに決まりました。
自分自身も父からホテルを事業承継した際、ゼロから起業する事とは違った大変さがありました。
一番は「空気」です。
年数が経てば経っている程、その会社の「空気感」は前社長の作ってきた雰囲気で熟成されています。
空気を換えることは思ったより容易ではありません。
合理的に正しい事でも空気に反する事(今までやってこなかった、選択されてこなかった事)はなかなか定着しないのです。
ダメな空気となってしまっている場合、まずは自分自身でやれることで結果を出し、少しずつでも持っていきたい空気を作っていくしかありません。(初めは誰も協力してもくれない為、死ぬほどストレスが溜まります。。)
いきなり社内組織に手をつける前に、良くない取引業者の見直しや、管理会計などの項目の明確化を行うとマイルドに空気を換えていくことができます。
最終的には、目指すべき方向性の明示やそれを達成する為の社内組織に手を付けていくことになりますが、まずは現状の見える化をするだけでも新鮮な空気が入ることは間違いありません。
空気を換えなくてもいい感じの場合は全く問題ありません。
その場合は、下記の4つの階層ごとに明確になっているか、また改善できる部分はないか確認できればOKです。
1.Why:理念・思想 <なぜこの会社は存続すべきなのか?>
2.What:戦略・マーケティング <何を誰に提供すればWhyに繋がるのか?>
3.How:ファイナンス・問題解決力 <どうやったらWhatが出来るのか?>
4.To do:人 <誰がどんなチームでどんなシステムを使って日々何の業務をするのか?>
ゼロから起業する場合は、トップダウン的に1から順番に考えて、4まで繋げていけば論理的に非常に綺麗に作ることができます。
一方で、既にある事業を引き継ぐ事業承継の場合は、ボトムアップ(現状把握)とトップダウン(どういう方向に行くべきか)を行ったり来たりしながら、足りない所や改善できる所を少しずつ良くしていくことが重要になります。
特に初めの一歩は慎重にすべきで、劇的に変更することで業績が落ち込んだりすれば、社員は誰もついてこなくなります。簡単ではありませんが、初手は必ず結果を出さないといけません。そう考えると事業承継も起業と同じように大変です。
養父も中小企業経営で重要なのは、結局「人」と「ファイナンス」だと言っていました。「理念」や「戦略」も大事だけど、その前にまずは3「お金」と4「人」にしっかりと応えることが出来、会社を継続させることが出来て初めて1「理念」や2「戦略」の議論ができる。
机上で完結させない「人」と「空気」のつくり方について、更に勉強していければと考えています。