「呉子」から学ぶシリーズ第三弾ということで、今回は、「外乱に対する対応方法」です。
昨日の夜中もホテルから緊急の電話があり、何事かと思えば、お客様が大きな声で「駐車場代は払わないか、もしくは宿泊代を安くしろ」と叫んでいるとのフロントスタッフからの報告と「どうしたらいいか」の相談でした。よくよく聞いてみると、お客様は酔っ払って帰ってきた事やフロントスタッフも駐車場代の請求が遅くなった事などが分かりました。
ホテル側の伝え方に関して十分に謝罪した後に、請求額に関しては正規の料金で駐車場代をちゃんとお支払い頂くように話してくださいと伝えました。フロントスタッフもその内容は分かっていたとは思いますが、改めて確認して、お客様にしっかりと対応をし、お支払い頂けたようです。次の日の朝には、お客様の酔いも覚めたのか、何事もなく、フロントスタッフとも普通に挨拶し、会話されていました。
こうした急な「トラブル」や「事件」、もう少し広い意味で「競合による市場の変化」といった「外乱」などに対して、どのように対応したら良いかについても、「呉子」から学ぶことができます。
「呉子」の「応変第五」に下記が書かれています。
武侯問うて曰く、車固く馬良く、将は勇にして兵は強し、卒かに敵人に遇う。
乱れて行を失えば、則ち之を如何にせん。
呉起対えて曰く、凡そ戦いの法は、昼は旌旗旛麾(せいきはんき)を以て節と為し、夜は金鼓笳笛(きんこかてき)を以て節と為す。
左に麾(さしまね)きて、右に麾きて右し、之に鼓して則ち進み、之に金して則ち止まり、一吹にて行き、再吹にて聚(あつ)まる。
令に従わざる者は誅す。
三軍威に服して、士卒は命を用う。
則ち戦いて強敵無く、攻めて堅陣無し。
つまり、「急なトラブルによって組織が乱れた時どうすれば良いか」の問いに対して、「変化に対して適切な対応する。そもそも、外の変化に対して、内が変化しないように普段から備えておくことが重要。」と答えています。
これは非常に重たい内容だと思います。
何か起きた時のその場しのぎの裏技なんて無く、普段から組織に対して一貫した方向性を指し示せてさえいれば、外乱が起きても混乱することなく、変化に応じた対応ができるということです。この一貫した方向性・考え方・ポリシー自体が組織の中にしっかりと浸透するように、普段から色々なケース(何かを決定する際の判断の論理方向性と考え方)で伝えていく事が大切です。