昨今、至る所で「シェアリング!、シェアリングエコノミー!」などと騒がれていますが、たかだが1つの会社の中に閉じた話でも「共有」はそう簡単ではないのかなと思います。
昨日、「HoteKan」の設備と備品管理アプリを名古屋のホテル支配人に紹介しに行った際に、「知見の共有」に関する話題で盛り上がりました。
そのホテル支配人はホテル歴・支配人歴も長く優秀な方で、フロント接客・インシデント対応・旅行代理店営業・ネットエージェント(楽天など)対応・売り出し客室コントロール・宿泊プラン作成・客室清掃調整・客室修繕対応・設備改修・大規模リニューアル・投資計画作成・ホテル建物内の電気配線、筐体の構造、状態の把握・各設備や備品の見積額の理解・各事象に対応できる最適な業者リストの把握・スタッフの求人、育成まで、全ての項目で深い知見を持ち、情報のアップデートが常にされています。
また、そのホテル支配人は、中小企業で良くありがちな、知見を持った人が自分の立場の優位性を保つ為だけに他のスタッフに知見を共有しないといったタイプではなく、ホテルスタッフだけでなく協力業者にも広く深く知見を共有しようとしている素晴らしい方でした。
ただ、その支配人ですら悩んでいるのが、「知見の共有の仕方」についてでした。
ホテルの場合、チェックインが15時以降の為、ホテルの顔となるフロントのメインは夜になります。ですので、フロントマネージャーはナイトスタッフが担う事が多くなります。
ナイトスタッフは夜を跨ぐ勤務時間となり、連日勤務出来ない為、フロントマネージャーが2名以上で運営されている場合があります。私のホテルも2名おり、そのホテルでも3名のフロントマネージャーがいます。
例えば、設備改修を計画する際は、それを受けてお客様への対応や館内案内、宿泊プラン・金額の変更、清掃業者への調整依頼などを支配人が検討し、その旨をフロントマネージャーに伝え、現場の各スタッフに指示を行い、全体のオペレーションに繋げます。
私の場合は、Slackを用いて概要を伝達し、意向や意味合いを伝える必要がある場合は口頭で1名の副支配人、2名のフロントマネージャーに説明します。3名のフロントマネージャーがいる、そのホテルの支配人は口頭で3名に毎回説明をしているそうです。
ただ、その説明も3回(別日になります)行っている間に、1人のフロントマネージャーごとに質問や議論が始まって方向性がちょっとずつ変わり、3人目の時には1人目の時と異なる形で説明している事も少なくないと言われていました。私のホテルでも同様な事は発生し、前提となる知識や知見が各フロントマネージャーによって異なる為、伝わり方にどうしてもズレが生じてしまいます。実際にホテルは24時間×365日営業の為、フロントマネージャーによって偏りが出る日が出ないようにしなければいけませんので、このズレは良くありません。
また指示の伝達だけでなく、どこかのタイミングで支配人業務をフロントマネージャーに引き継がなくてはいけません。その際に、これまでの支配人の知見を何とかしてフロントマネージャーに共有し、自ら適切な解決策を検討できる力をつけて貰わなくてはいけないのです。
3名に「指示の伝達」をするだけでも難しいのです。「知見の共有・伝達」はなおのことです。
今後、この知見の共有に関して、色々なアプローチでサポートできるツールをFRINGEで開発したいと考えています。「HoteKan」を作成したのも、まさにこの(ホテル設備にフォーカスを当てた)知見の共有をより簡単にできるようにするためでした。
また、この取り留めのない形で書いているブログも、自分のあるタイミングでの知見を履歴として残すことで、将来ビックデータ解析のようなことがが出来れば、自らの知見の変遷や成長が分かったり、自分以外の方に伝える際の手段として活用できるのではないかと考えています。