適切な⊿が評価される

以前、「マーケティングとマネジメントの相関」を書いた際に、「常に相手の立場に身を置き、相手の立場から物事を考える」ことの重要性について考えました。

このことをよくよく考えると、マーケティングにおいてもマネジメントにおいても「相手(の状態)に対して自分が提供するモノがどれだけ価値があるかは、相手(の状態)と自分が提供するモノとの相対的な意味合い」ということです。

簡単に言えば、相手が「お腹が空いた。餃子が食べたい。」という状態に対して、自分が「高級な絵画をプレゼント」したとしても、相手の欲求(足りていないもの)に対して全く応えれていないので、必要ないもの(価値のないもの)となります。

更にもう少し言えば、相手の求めるモノに対して、適度な⊿(デルタ)=差分があるモノを提供することが価値になると言えます。言い方を変えると、相手が求めるものに対して⊿(差分)がありすぎるモノを提供しても、相手は理解できずに価値になりません。

例えば、「1+1= 」を解きたい子供がいた時に、数学者が「1」というそもそもの存在の定義について説明したとしても(「無」を意味する 0 に対して、1 は有・存在を示す最原初的な記号。1は最小のカタラン数であり、最小のメルセンヌ数でもあり、最小のリュカ数でもある、リュカ数の次は3。また、初項2の後者である。など)なんの役にも立たないのです。

このことは同時になかなか辛い現実も指し示しています。
世の中に絶対的な価値というのは存在しづらいという事です。

例えば、とんでもなく天才で頭が切れるけどちょっと社会不適応な人が企業に就職したとして、その会社の上司は普通の人だった場合だったとすると、その天才は会社で評価されることはなく、どちらかというと変な奴扱いをされて終わってしまうでしょう。

「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」という映画を最近観たのですが、まさにそうした内容(天才数学者が生きている間にはなかなか理解されず孤独のまま死んでしまう)が出てきます。

では、どうすれば良いのか。

自己を研鑽するときは、自分を相手にして⊿(自分がその時点で知らないもの)を考え、一つずつ積み上げ、⊿が小さくなっていけば、ハードルを少し上げて、また適度な距離の⊿を作って日々進めていく。

一方で、マーケティングやマネジメントにおいては、他人を相手にして⊿(自分が知っているもの・持っているもの‐相手が足りないもの)を考え、適度な⊿の差分にして、適切な見せ方(演出)にて提供する。

この切り替えとバランスが非常に重要なのではないかと思います。

その為には、⊿=「自己の提供できるもの」-「他者の足りないもの」から分かるように、適切な⊿を提供するには、自己の提供できるものを日々積みあげるという事と、他者に対して興味を持ち理解しようとする事が必須になります。遠すぎず近すぎない適切な⊿の出し方が分かるように、自己と他者の両方に面白みを感じながら生きていければ良いなと考えています。

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