Go to キャンペーンと現場

最近のメディアは、第2波ばりのコロナ感染者数の増加についてか、「Go toキャンペーン」のニュースが大半です。
Go toについては、やはり予想通り昨日7月22日から開始されました。

観光関係者以外の方の声が比較的多くメディアで聞かれますが、実際の宿泊関係者の声はあまり聞こえてきません。(実際、ポジティブ発言は世間から叩かれ、ネガティブ発言は観光業界から叩かれるから発言しにくいと思います。)

実際の宿泊事業者の1人として、今回のGo to開始について言えることは、「段取りが壊滅的」だという印象です。

1.事業者(宿泊施設、旅行代理店、OTA)は登録申請しなければ適用できない
⇒開始前日の7月21日までに登録方法や申請書が開示されておらず、誰も登録されていない状態でスタート
⇒開始日の7月22日のチェックイン15時直前に開示された仮登録申請フォームはリストを作る為だけのGoogleフォーム、送信しても自動返信は無し

2.旅行代理店やOTAの割引表示は7月27日から開始
⇒リクルート(じゃらん)からは7月27日には間に合わないと既に連絡あり
⇒エージェントにとってこの4連休は地獄の日々

3.間に合わない期間は、旅行者自身が還付申請を行って対応する
⇒還付申請書類は8/14以降にしか公開されない、でも9/14までに申請しないと期限切れ

4.ホテルに直接予約がある場合は、第三者機関を通じて予約管理していないと適用不可
⇒ホテルが電話などで受けた予約やキャンセルをシステムを介さずに、第三者の会社がどのように24時間独立管理するのか意味不明

宿泊料金から35%引きが適用されるのは、お客さんにとっては有難いことだと思いますし、困窮している宿泊業界に税金を使ってもらうのも非常に有難い事ではありますが、結局入金される先は現実的にほぼほぼエージェントになりそうです。

宿泊施設としては、全施設が値下げ状態になるので、前回の記事にも書いた通り、プレファレンスの高い宿泊施設のみが稼働が高くなり、他はニーズ自体が増えない限りは特に稼働は増えません。現状、感染拡大傾向のニュースが続く限りは、安くなったからと言って、そもそもの移動する(宿泊する)ニーズは増えるわけではありません。

今後を考えれば有難いGo to キャンペーン

とはいえ、死にかけの業界に(やり方としてはイケてるとは言えないものの)金額的な支援を開始してくれたのは大きいと思います。

直近はキャンペーンの効果は期待しない方が良いですし、移動を助長する必要は全くないと思いますが、仕組みとして今無理やりにでも始めておけば、これから継続的に宿泊や移動にかかる経費が削減できるため、コロナが落ち着いてくる頃にビジネスや観光において大きなサポートになると思います。

ただ、システムを含めた制度設計の段取り不足については、省庁関連のコンサルをしていた13年前と比較しても、官僚の質が大幅に落ちたのか、指示系統がめちゃくちゃなのか、ヤバいレベルです。

キャンペーンは勝手にGoしていますが、登録施設は一つもない、不思議なキャンペーンが既に実施中です。

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