先の記事で、株主とその保有率によって生じる権限について紹介しましたが、その中で色々な重要な意思決定を行う会議として「株主総会」が出てきました。
株主総会も決まった日程で行う「定時株主総会」や大事な決め事を行う必要のあるタイミングで開かれる「臨時株主総会」があります。「定時株主総会」は、事業年度末の3ヵ月以内に招集することが多く、3月末決算であれば6月くらいに開かれる会社が多いです。「臨時株主総会」は、必要に応じていつでも、何回でも招集することができます。招集に関しては、会社が株主に対して「日時」「場所」「決める事」を記載した通知を開催する2週間前までに連絡しなければいけません。
「株主総会」とは別に「取締役会」という会もあります。
基本的な違いは、「株主総会」は株主も参加した形の意思決定をする場所で、「取締役会」は会社運営を行う取締役によって意思決定をする場所となります。
ですので、「新しい取締役や執行役員などの選任や解任」については、「取締役会」で運営上の偉い人達だけで決めることができず、「株主総会」で決める必要があります。会社運営を行う取締役しか株式を保有していない場合は、実質上、「株主総会」=「取締役会」になるので、持ち株保有率が高い取締役が役員を自由に選んだり、クビにできたりします。
一方で、取締役以外の株主が多く存在している場合は、「株主総会」で持ち株保有率の高い株主が役員を決めることができてしまいます。
「役員の選任や解任」だけではなく、「役員報酬」に関しても、「取締役会」で決めることができません。これも「株主総会」で決めることとなります。
つまり、どんなに役員が頑張って仕事をしていたとしても、株主が評価しませんと言ったら、役員の給料も上げることは出来ません。
ただ、全ての事項をこの「株主総会」で決める必要があるとなると、会社は運営できなくなってしまいます。ですので、基本は役員陣で相談しながら会社運営を行っていくのですが、それを形式として形にしているのが、「取締役会」となります。
「取締役会」を設置するには、取締役が最低でも3名は必要となります。役員が1名の場合は、全ての重要決定を「株主総会」で決める必要が出てきてしまいます。
まとめると、「株主総会」でしか決める事ができない内容が大きく下記の4つです。
1.定款の変更、会社の解散、M&Aなど会社組織に対して大きく影響がある内容
2.配当金など株主の利益に関係する内容
3.取締役を含めた新しい役員の選任や解任に関する内容
4.役員報酬についての変更
5.コンプライアンスに関する内容
それ以外の「株式の譲渡」に関してや「経営方針」などに関しては、「取締役会」の中で決めていって良い内容となります。
何れも「株主」と「取締役」はお互いに良い関係でかつ、お互いをちゃんと評価できる人達でないと、必ず会社運営上も揉める原因となりますので、お互いの選定時には良く吟味する必要があります。
また、「株主総会」は、「あんなことは言っていない」「そんな事は知らないぞ」と後からいちゃもんを付けられることもありますので、必ず「議事録」を残して株主に共有することが大事です。