前回記事の「UI」と「UX」のように違いが分かりづらい用語に、「CS」と「CX」があります。
「CS」は昔からよく聞く指標ですが、「CX」はここ2~3年くらいで聞かれるようになりました。
「CS」とは「Customer Satisfaction(顧客満足度)」の略で、サービスに対してお客さんがどれくらい満足してくれたかを測る指標となります。
ただ、顧客満足度を見える化することは比較的に難しく、唯一「口コミ」などの「お客様の声」や「アンケート」による点数、個別の「インタビュー」などで、測っていくことになります。
また、従来の顧客満足度という意味での「CS」では、比較的に「いかにより良い接客=おもてなし」を行うかに焦点が当てられがちでした。更に、立場によって「CS」の定義は変わり、例えば「メーカー」の商品開発事業部からすると「CS」は「商品の品質の高さ」に置き換えられますし、自動車販売のディーラーからすると「CS」はまさに先程の「いかにより良い接客=おもてなし」に置き換えられます。
つまり、「CS」は企業サイド(サービス提供サイド)からみた顧客との接点での満足度を重視していることになります。
一方、「CX」とは「Cutomer Experience(顧客体験価値)」の略で、サービスを通じてお客さんが体験した全ての総合的な評価としての指標となります。
なんだか、「CS」との違いが分かりづらいですが、企業サイドからの一方的な見方ではなくて、ユーザ(お客さん)サイドから見た満足度として見方を変えようということなのかなと思います。
例えば、「CS」的なアプローチであれば、お客さんが接する部分の内容、例えば、Webサイトの内容、販売員の接客、電話やメール対応の仕方などに対して、満足度向上を目指し改善するという形になりますが、「CX」的なアプローチであれば、企業側では全て関与できないプロセスの隙間も含んで考える必要があります。Webサイトを確認して、店舗に行く途中であったり、Webサイトで注文を行った後の商品の配達などです。「CX」の考え方は、ほぼ「UX」と同じ考え方だと思います。「UX」の満足度(感動度?)を向上させる指標が「CX」といったイメージですかね。
ただ、そうなると、「CX」を本当の意味で向上させるには、「CX部」が全事業部に対して全体最適を行うことができるほどの権限を持っていないと実働はしません。
また、「CS」として最低基準に至っていない(問い合わせをしたのに返信が1週間後だとか、クレームに対して無視するなど)のに、「CX」が重要だと言っていてもそれは機能しません。
まずは、提供するサービスのパーツ(プロセス)毎の「CS」を向上させ、その上で全体最適としての「CX」を検討することが順序としては大事なのかなと感じています。