来年の令和5年10月1日からインボイス制度といって、「適格請求書保存方式」が開始されるようです。
消費税の内訳や適格請求書発行事業者の番号を記載した請求書であれば、「適格請求書」としてお客様から支払ってもらう時にお客様が消費税の仕入額控除を受けることが出来ます。
逆に、適格請求書ではないと仕入額控除が出来ずにお客様の会社が損をしてしまうので、売り手としては適格請求書を出さなければとなります。
年内中には事業者登録をして、請求書の記載方法を今の内に修正しておきたいと思います。消費税は一般ユーザーの立場としても大きい税金ではありますが、清掃業の会社を持つ立場としては更に遥かに影響の大きい税金となっています。
企業の場合、売上の中で貰う消費税をまとめて年間何回かに分けて支払っていくのですが、企業自身も消費税を含んだモノを購入するので、ある程度相殺はされて売上のまるっと10%取られることは少ないです。
しかし、清掃業の場合、人件費がコストの約7割を占める事業の場合、人件費に消費税は含まれていない為、全く相殺されません。
ですので、ほぼ10%に近い消費税をまるっと支払わなければいけないのです。
一般的に、売上の10%も利益が出たら優良企業です。その10%はそのまま消費税に消えていきます。なので、ベースとして20%は利益を出さないといけないのです。
にも関わらず、最低賃金は凄い勢いで上げられていき、人手のかかるビジネスは利益が出ない構造にされつつあります。
DXや生産性向上によって解決しようとする方向性はあるものの、清掃やベッドメイク、設備管理や介護など、人がどうしても介在しないと出来ない部分を更に圧迫してしまえば、基本的にインフラが立ち行かなくなります。
全国旅行支援が来月の10月11日から開始され、これで宿泊事業者や観光も復活だという雰囲気が醸し出されていますが、現実的に今後律速するのは売上の稼働率ではなく、清掃や設備管理など客室を提供できるかどうかのボトムサイドの問題になっていくと思われます。
格式も高く常に満室だった有名旅館も一斉にスタッフが申し合わせて退職し、運営が立ち行かなくなりました。
また他にも客室の清掃が間に合わない、設備の不良があって売れない部屋だらけで予約を断っているホテルの話も聞きます。
清掃側は人手が足りないだけでなく、最賃の問題でコストも合わなくなり、ホテル清掃からの撤退が増えてきました。
マッサージや声優業など人がベースの仕事の人達も多くは個人事業主で、インボイス制度などはそういった人達に対しても容赦なく降りかかってきます。
このまま人で成り立つ事業やインフラを締め付けていけば、表向き華やかな観光業もバックエンドから崩れていくだろうなと悲しい気持ちになります。
日本の固有な品質は人で成り立っています。バックエンドが評価されるように我々自身が頑張って地位向上させていかなければと思います。