京都にて現場を見る

ミシェランガイドにも3つ星で紹介される町家を改装してつくった高級旅館を営むお宿さんからHoteKanについて話を聞きたいという事で、一昨日久しぶりに京都に向かいました。

台風も過ぎ去り、名古屋同様、京都も同じく異常な暑さで、地面から暑さをじりじりと浴びながら目的の旅館に着きました。町家を改装した風情のある旅館で、エントランスは着物の旅館スタッフがお迎えしてくれました。何より空調の効いた室内で一息入れることができました。

早速話を伺っていると、自分がホテル運営する中で苦労してきている内容とまさに同じでした。

「清掃スタッフの人手が足りなくて、品質を維持した部屋を売る事ができない」
「部屋の備品管理など、各施設に保管してあるため、現状どれだけ少ないかなどが把握しにくい」
「部屋の設備の異常の修繕履歴をExcelでまとめているが、もはや管理しきれなくなってきた」

上記内容をサポートできると思われるHoteKanの説明をすると、直ぐに利用したいと言っていただけました。

現場も把握している人、数字だけ把握してる人

話を伺いながら思った事は、現場を非常に重視されているお宿さんだなという事です。清掃スタッフさんの一人一人への理解度から現場で起きている現象、京都を含めた宿泊市場に関する洞察や分析などトップがちゃんと分かっているのは素晴らしい事だと思いました。

お客さんに真摯に対応する為、見えない場所で必死に努力されている、こうしたホテルや旅館さんにどんどんHoteKanを使ってもらいたいと改めて思いました。

もう一つ、京都に新しくできたホテルで今話題のアートホテルにも行ってきました。通常のホテルと異なり、入って直ぐにアートが並びバーカウンターがあります。フロントは奥にありました。

先程の高級旅館を運営されている方と同じくMC方式(運営受託方式)で行っているようでした。雰囲気はホテルというよりはカフェに近い感じで、誰がホテルスタッフか一見分からないスタイルでした。

主に欧米系のインバウンドが泊まられているそうです。こちらも人手が足りていないようで、運営会社のトップが自らフロントに立って夜まで入ると言われていました。ただ、コンセプト先行でホテルを作った為(EVが1台しかなく高層ホテルの為、リネン台車がスムーズに移動できない等)、現場が上手く機能せず苦労しているようです。

バリュエーションと本当の意味での企業価値のズレ

VCから出資されて事業を創るベンチャーの場合、ひたすらバリュエーション(企業価値)を上げて、資金を調達し続けなければお金がなくなり会社はつぶれてしまいます。なので現場がどんなに疲弊していても、表では非常に上手くいっているという顔をしなければいけないのです。

また会社の方針によっては、オペレーションよりも次の企画、マーケティングやPRに重点を置き、バリュエーションを上げる施策に走るところもあります。すると、周りの人は余裕があってマーケティングをしていると思っているので「上手くやっていて凄いな」と感心してしまうのですが、実際は逆の事(現場と経営炎上状態)が多いのです。

先の旅館の場合は、マーケティングよりも現場オペレーションや仕組みを先に確立しようとしている所が強さとして感じました。実際に、大型旅館を今年新しく数カ所でつくっていく予定が出来ており、その為にはマーケティングよりもベースの仕組みづくりを確立したいと言われていました。

一方、アートホテルはオペレーションの問題もあり、既存ホテルが上手く立ち上がらず、今年予定していた新規オープンが半年以上延期していると聞きました。

京都の宿泊市場は非常に厳しい

市場も同じです。京都と言えばインバウンドが多く、お金がいっぱい落ちている所というイメージをメディアによって多くの人が持たれています。

しかし、現実の京都の宿泊市場は非常に厳しい状況です。

ホテルや旅館、一棟貸しなどがどんどん建設される一方、インバウンド客自体はそれほど増えていない、むしろ日韓関係の問題などで韓国のインバウンド数が一気に下がり(京都では例年韓国の方が一番宿泊数が多かったようです)、ホテルオークラなども1泊1万円代で売り出すなど、稼働率・単価ともに異常に下がってきているようです。

イメージや雰囲気で勝手な印象を持つ前に、今目の前で起きている現実・現場・数値をしっかり認識した上で、小さなバッチサイズでまずは回していく事が「思っている以上」に大事な事なんだなと、16日夜になる前、五山の送り火を後ろにしながら新幹線に乗り込みました。

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