5年前、Fintechと言われる新しいベンチャー企業がワサワサと生まれました。
当時はその新しいバズワードである業界に多くの投資マネーがつぎ込まれました。
クラウドファンディング(寄付型・購入型・投資型)やソーシャルレンディング、スマホで簡単に買える証券サービス、ロボアドバイザー(AIで自動的に最適な金融商品を買ってくれる)、クラウド家計簿、クラウド帳簿・経理、スマホ決済など、Fintechの名の下に色々な事業が出てきました。
マネーフォワードやfreeeといったクラウド家計簿・帳簿、WealthNaviといったロボアドバイザー、コロナ禍によって伸びたCAMPFIREを始めとする寄付型クラウドファンディングは、上場したり、ビジネスとして軌道に乗っているものも出ています。
一方で、クラウドファンディングの投資型やソーシャルレンディング、スマホで買える証券の多くは、出資された巨額のキャッシュを使い果たし、売却先を見つけられるか、ダウンラウンドといって時価総額よりも低い評価額で追加調達をできるか、それができなければ潰れるかの状況となっています。
最終手段として、これまでに作り込んだシステムやアプリを他の企業や金融機関にSaaS(BaaS:金融機関向け)としてシステム売りを始めている所もありますが、相手側の金融機関のシステムはシンプルに出来ておらず改変が面倒で、APIとして組み込むのも至難の業です。しかもそれを担当する金融機関側の担当SIerは乗り気ではないでしょうから、なかなか案件として上手く進みません。
ソーシャルレンディングもSBIの事件(実態とは違うものにお金を集めていた)も起こり、怪しいイメージがより濃くなっています。
3年前には、収益がまだ立っていない企業に100億円近いお金が集まるようなFintechバブルでしたが、いつの間にかコロナ禍の裏でひっそりとバブルが弾けています。
ベンチャーバブルと終焉の原因の一つは、起業家だけでなく、日本のベンチャーキャピタルのレベルが凡庸な事にあるのかもしれません。メガベンチャーなどのExit経験はなく、企業評価額計算は得意な金融やコンサルティング会社上がりの人が多数です。
なので、日本ではなかなか本当にイケてる尖った人がVCからは評価されにくいかもしれません。(逆にベンチャーキャピタルと同質な経歴のビジネスエリートの人が必要以上に評価されてしまい、結果どちらも同じタイプにて事業が立ち上がらない。)
こうしたダウンサイドの内容は一般的にはあまり記事にもされずに、ひっそりとなかったことになってしまいますが、ベンチャーバブルの立ち上がりから終焉までリアルに見えた人間として、記憶だけでなく、ちゃんと記録に残しておこうと思いました。