コロナ禍は予想を超えて長期化しており、宿泊業においては毎月キャッシュが燃えている事態が全国で起きています。
Go To キャンペーンもまだ詳細の発表はありませんが、東京において感染者数がこれまで以上に増えている中、世論はネガティブな意見が大半です。7月末前に急ぎキャンペーンを行おうとしている背景としては、宿泊業を始めとした観光業がキャッシュ的に限界に近付いているからに他なりません。
高稼働の一部のホテルと低稼働の大多数のホテル
名古屋における6月度の稼働は19日以降、県を跨いだ移動が可能になったことで、一部の有名ビジネスホテルチェーンに関しては単価を低く設定することで60%~80%を獲得したものの、周辺のホテルは軒並み20%~30%前後で中々稼働が上がりませんでした。7月度に入り、東京の感染者数が増加する中、都心部の出張者が再度減ることになり、稼働は6月度よりも悪い状況になっています。
一方で、箱根など東京近郊の車で行ける温泉旅館に関しては、7月度から週末は満室状態、80%ほどの平均月間稼働率で推移している所もあります。その旅館はプレスリリースからインフィード広告など販売部が積極的に新しいプランやコロナ対策を公開し、近郊旅行ニーズと相まって稼働を獲得しています。
ただ、殆どの地方の旅館やホテルではそこまでPR戦略を立てることはできず、エリアの中でニーズを分け合う形の為(OTAなどで〇〇温泉と検索して、その中で表示される旅館やホテルとして比較される形)、全体の需要数が激減している中、プレファレンス(ブランドエクイティ、品質、価格)が高くない施設はまともに稼働しない状況が続いています。(このコロナ禍で星野リゾートの星野社長がメディアに多く露出しているのは、まさにこのプレファレンス向上を狙っているからでしょう。)
ただそうすると、プレファレンス(ブランド力)の高い上位層の一部の宿泊施設だけが高稼働を維持し、他の殆どの宿泊施設は低稼働を継続することとなり、限界まで融資を引っ張って本年度生き残れたとしても来年以降、返済計画が立たないという状況にこの夏明けには確定してきます。
宿泊業の寡占化と価格高騰
そうなると、「宿泊業の寡占化」が待ったなしです。航空会社などとは違い、中小企業の多い宿泊・観光業の場合は、国による個別の支援を受けることは困難の為、プレファレンスか体力(キャッシュ)のある所だけが来年以降も事業継続、その他は閉館か廃業となってしまいます。
過剰供給がこれによって適正供給まで戻るのであれば良いですが、適正供給以下になってしまうと、以前のアパホテルのようにビジネスホテル1泊25,000円などの価格高騰も起きてくると思います。
宿泊が贅沢なものになってしまうと、気軽に国内移動すらできず、出会いによる「クリエイティブ」(新規ビジネス)の創出がなかなか生まれにくくなってしまいそうです。(一人で作るクリエイティブはテレワークで問題ありませんが。)いずれにせよ、明日のGo To キャンペーンの方針発表は色々と意味深いものになりそうです。