現場改革の第一弾

現場に入って、ランディング(離陸)するための土壌(「直せる所から、その日から直す」、「目標の見える化を行い、なるべく早く結果を出す」)を作った後、ここから本格的に改革に乗り出しました。

改革第一弾として、まずは現状の全ての「棚卸」を行いました。

ホテル内にある全ての「1.備品・設備」
ホテルと取引のある「2.関係業者」
ホテルのお客様である「3.法人企業」
OTA(インターネット旅行代理店)を含めた全ての「4.販売チャネル」
1日・1週間・1ヵ月・1年毎の全ての「5.業務プロセス」

をExcelやPowerPointを使って、全て構造化・見える化しました。

「1.備品・設備」に関しては、横軸に年月日を入れて、縦軸に備品と設備のエリア別に整理した項目を入れて、購入や設備変更した内容を年月日毎に金額と型番も含めて整理していきます。そうすると、どの備品や設備でお金がかかっているか、もしくはお金をかけていないかが明確になります。その上で、次の投資計画や現状の見直しを行います。

「1.備品・設備」にも紐づく「2.関係業者」は、備品・設備以外に、「税理士・会計士」、「社労士」、「求人代理店」、「デザイン会社」、「清掃会社」、「設備管理会社」、「電気保安業者」、「ガス会社」、「電気会社」などがあり、現状の業者と国内・海外含めた同じ分野の競合業者を項目別に全て出し尽くして整理します。

そして、談合になっていない健全な業界から(健全でない業界は見積依頼を出した途端にその情報を業界内で回されてしまいます)、新しい商品も含めて提案を依頼します。提案を依頼する業者数は、項目ごとによって変わりますが、最低でも5つほどの会社に声を掛けるようにしていました。提案を貰う内に、その業界の品質の基準レベルと価格感が掴めてくるので、初めは全く分からない分野の業種も提案を貰っている内に、勘所が分かってきます。

次に、お客様である顧客分析を行います。顧客が「3.法人企業」の場合は、ファンになってもらえればリピート性も高く、人数も多い為、事業運営上、非常に重要なファクターとなります。その為、「1.備品・設備」で整理したような形で、横軸に時系列、縦軸に顧客の法人名を並べ、過去からの推移を整理します。それによって、これまで数多く利用いただいている重要な顧客法人とアプローチできていない周辺の法人企業がデータとして浮き上がってきます。

そして、ホテルにとって重要なマーケティング施策となる「4.販売チャネル」を整理します。通常の旅行代理店、楽天やじゃらん、Expediaといったインターネットの旅行代理店、更に自社のHPやSNS、口コミポータルサイト、街頭広告など、お客様のタッチポイントとなる販売チャネルを現状と他の可能性のあるチャネルを「手数料・広告料」×「集客力・獲得力」を軸に全て整理します。

最後に、「5.業務プロセス」を時間別に現状を見える化し、更にあるべき姿の業務プロセスも整理します。現状を見える化する際に、実際にこれまで働いてきたスタッフに十分なヒアリングをして問題点や改善点を聞き出し、現場に対してしっかりと向き合うことが重要になります。

この1~5の「棚卸」を全て行うと、現時点の立ち位置が明確になり、どの手段を用いて、どうやって「あるべき姿」に歩いていけば良いかが自然と分かるようになってきます。

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