ここ最近、ホテルの設備異常が同時多発的に発生していて、ホテルの支配人としてもHoteKanの最新版のリリースを待ち遠しくしています。
具体的にこの一週間、ホテルで起きた設備の不具合を挙げてみます。
1.2Fの天井裏から水漏れ
2.客室の浴室鏡に黒いシミ
3.客室の浴室の天井にあるフタの留め具が一つなくなっている
4.客室の内窓のスライドカバーの建付けの問題で外からの光が漏れ入る
5.コインランドリー室の乾燥機のフィルターが稼働中に外れて衣類が埃まみれ
6.11Fの建物東側のフロアの客室の4部屋において、お湯の温度がぬるかったり、水圧が弱い
7.シャワーホースの隙間から水漏れ
8.客室のトイレの給水タンクの水が流れっぱなし
築20年も経つと、このような現象が日常茶飯事のように生じます。それを日々の業務を行いながら、発見時に直ぐに解決を進めていきます。ただ、直ぐに解決を進めていこうとしても、スムーズに解決に向かうものと何をしたら良いのか全く分からず解決が進まないものがあります。
故障部品の正式名称が分からない
その違いは、「正確に言語化できている」かどうかです。正確に言語化できる事象は直ぐに解決策が見つかります。
例えば、「2.客室の浴室鏡に黒いシミ」という設備異常も、「浴室鏡のシケ」と正確に言語化できてしまえば、高温多湿の長期間利用による鏡の内側の腐食が原因と理解でき、鏡を拭いたりしても無駄で解決策としては鏡の交換一択と理解ができます。
ただ、この「シケ」という言葉も専門用語の為、自分も知りませんでした。「浴室 鏡 黒いシミ」などの検索を何回か行った後、「シケ」という言葉を見つけることができたのです。
他にも「3.客室の浴室天井にあるフタの留め具がなくなっている」に関しても、Amazonで「浴室 天井 フタ」と検索しても出てきません。「点検口固定クリップ」と分かれば、そのユニットバスのメーカーと型番、作られた時期を調べればインターネット通販で購入することができます。
問題を論理的に言語化できない
一方で、「1.2Fの天井裏から水漏れ」や「6.11Fの建物東側のフロアの客室の4部屋において、お湯の温度がぬるかったり、水圧が弱い」は問題を論理的に言語化できていない為、解決策が分からない事例です。
天井裏の水漏れといっても、天井裏の配管には「給水管」「排水管」「空調管」もあり、更に「配管からの水漏れ」「配管周りの結露」「雨漏り」など様々な要因が考えられます。更にそれが単体で起きているのが複合的に起きているのか、更に一部の箇所なのか、広範囲で起きているのかも重要です。
これら全て正確に言語化できてしまえば、自ずと解決策は見えて、後は適切に原因の元を修繕するだけとなります。これが正確に言語化できていないと、無駄に天井を作り直して頑丈にしてクロスを張り替えたり、廊下全体をリニューアル工事したりと根本解決しないまま、修繕を繰り返すことになってしまいます。(そしてまた、水漏れして新品の天井クロスを交換する羽目になります。。)
まずは問題を言語化してみる
とはいえ、ここで重要なことは正確に言語化する事ではなく、まずは問題があるという事を「不明瞭でも直ぐに言語化して共有できる」ような環境を作るという事です。
お客様からのクレームや情報セキュリティ上での問題、現金管理での問題など、一番の問題はスタッフが「問題を隠してしまう」(表面化しない)ことです。問題を報告すると「怒られる」から言わないでおこう、いちいち上司に報告するのも「面倒」なので放置しておこうとなると、結果、大問題に発展することがあります。
なので、まずは詳細は分からないが、こんな事象が起こっているという事だけでも直ぐに共有できるように工夫します。問題が起きた時に責めるべきは、問題を起こした人でも問題が起きた設備でもなくて、問題が起きてしまった裏側の仕組みなのです。
仕組みが分かってしまえば、修正、改善を行う事ができ、更に予防もできるので次に繋がります。問題が起きたら、まずは「言語化」して「共有」します。そして、根本の原因を突き止め「正確に言語化」すれば、後は自ずと問題は解決します。言語化できれば90%は解決、あとの10%はその通りに行動するだけです。
HoteKanの開発を通じて、問題解決における「言語化」の有用性に改めて気づいている所です。