面接で失敗しない方法などは、就活マニュアルにも良く載っていますが、面接する側の方に関して言及されているものはあまりない気がします。面接を受ける人は、面接する人が合否を評価しますが、面接する人を評価する人はいないのが普通だからかもしれません。コンサルティング会社時代においては、面接官の評価内容自体も他のスタッフに公開され、面接する人の力量も査定されていました。
面接するのが上手い人は、仕事も出来る人が多いと思います。
「面接」=「インタビュー」であり、面接が上手い人はインタビューが上手い人でもあります。
インタビューが上手いという事は、
「1.事前情報で対象者を選定できる」
「2.目的を明確化でき、最適な手法を選択できる」
「3.自身の考えに誘導することなく、対象者の考えを引き出すことができる」
ことだと思います。
「1.事前情報で対象者を選定できる」とは、インタビュー(面接)をする前に適切な対象者(面接を受ける人)を事前の個人情報(履歴書など)から選定できるということです。
つまり、事前の個人情報から対象者の考え方やポリシー、出身地などのルーツ、興味のある領域、相対的な能力レベル、はたまた強みや弱みまで判断が出来るという事です。これが出来るようになるには、今までどれだけの人と会って事前情報との擦り合わせチェックを行ってきたかが肝となります。
これが自然と出来ている人は、仮説検証を普段から当たり前のように行っていて、人物に関するデータベースを人と出会う度に構築していっている人と言えます。そうした人は、人と会う前に可能な限りの事前調査を行い、その情報を元に仮説を立て、実際に対象の人に会った時には既に勝負を決めていると思います。
営業のシーンにおいても、交渉の場においても、この能力は絶大な強さを発揮します。ですので、「1.事前情報で対象者を選定できる」が出来る人は、どの分野でもかなり仕事が出来る人だと思います。
次に、「2.目的を明確化でき、最適な手法を選択できる」とは、インタビュー(面接)の目的(合格者の求められるもの)を論理的に言葉として明示化でき、その目的を達成する上で最も良いインタビュー形式(グループディスカッション、個人面接、複数面接、ケーススタディ、短期間インターン、カード分類法、画像を使った手法、シチュエーション演技、模型を使った手法など)を取捨選定できるということです。
これが出来る人は、仕事においてもプロジェクトのゴール(目的)を設定でき、そのゴールに対する論点を論理的に指し示すことができる人になります。
つまりは、プロジェクトマネージャーが出来るということです。逆に、論点として抜け漏れだらけの質問をする面接官がいたときは、隣でこっそり「この人にプロジェクトを任せたらダメだな」と判断しています。
最後の「3.自身の考えに誘導することなく、対象者の考えを引き出すことができる」とは、「2.目的を明確化でき、最適な手法を選択できる」を意識しながらも、2の論点をそのまま一問一答で聞いていくことはせず、対象者に合わせて最も回答が引き出せる聞き方ができ、更に自身の持っていきたい方向に誘導することなく、全て対象者自らから情報を出させることができることを意味します。
これは、「1.事前情報で対象者を選定できる」や「2.目的を明確化でき、最適な手法を選択できる」が得意な人の場合、どうしても「あなたは〇〇を△△と理解していますよね?」などと仮説ベースでつい誘導的に聞いてしまいたくなりますが、インタビューでは出来る限り自分の考えや思い込みを相手に押し付けることなく、質問をしていく必要があります。
またトピックによって、ついインタビュー(面接)している側が議論を持ち込んでしまったりしますが、これは主観が入ってしまい最悪です。目的から逸脱してしまいます。ですので、「3.自身の考えに誘導することなく、対象者の考えを引き出すことができる」が出来る人というのは、相手の意見を尊重し、しっかりと聞く姿勢を見せることができ、チームビルディング力が優れている人だと判断できます。
私も面接するときはいつも、面接している自分をもう一人の自分によって面接するように意識しています。