インターネットの普及と共に、仕事のコミュニケーション方法も電話からメールに代わり、更にスマホの普及と共に、仕事だけでなくプライベートにおいてもコミュニケーション手段がメールからチャットアプリに代わっていきました。
それによって、一人の一回の発信で複数の人がメッセージを受け取れるようになりました。例えば、グループLINEやSlackといったアプリツールを用いれば、グループ全員に発信することは非常に簡単に出来てしまいます。他にもグループ管理用のアプリなども昨今多くリリースされ、ユーザはどれが良いのか分からないくらい数多くのツールが供給されています。
ただし、使い手であるユーザの熟練度はそれほど進化しているわけではありません。3名以上のグループになった時のコミュニケーションにおいて、それを顕著に感じます。
「一体誰に何を伝えたくて送ったのだろうか?」
グループLINEやSlackなど、宛先を指定せずに全員が見えるチャネルに送る内容、よくあると思います。
(大概そうした送り手は組織の上の立場の人が多い印象です。)
そして受け手は全員、
「誰かが拾うんだろうな。」
と考えてスルーします。
結果、誰も何もしません。この現象を私は「三遊間のゴロ」と呼んでいます。
実際の野球における三遊間のゴロも、サードとショートの間にボールが飛んでいき、どちらが取るか悩ましい状態になりがちです。野球においては、どちらも自分が取るという意識で動けば良いのですが、仕事においては、そう簡単な話ではありません。下手に手を出せば、本来ボールを取るべき人からボールを奪い取るになり、投げた人も「違う違う。お前じゃない。」となりますし、ボールを取るべき人からすれば「何勝手にボール取ってるの?」となります。
仕事上の「三遊間のゴロ」は野球とは異なり、完全に投げた人の「投げ方が悪い」から起こります。
1.伝達することで、行動して欲しい相手の宛先を明確にしていない
2.行動して欲しい相手の事(どんな経験・感覚・志向・能力を持っているか)を良く知らない
3.行動して欲しい内容が曖昧
4.行動して欲しい意図が曖昧
三遊間のゴロが発生する場合、メッセージを送った人が上記の4つの何れかをしてしまっている場合が大半です。
その中でも1の宛先を書いていないパターンが80%以上だと思います。この1のパターンは、送り手がただただ傲慢です。自分がメッセージを送れば、他のメンバーはそれを上手く解釈して適切な人が対応するだろうという意識で宛先を書いていません。(唯一例外としては、送り手と他のメンバーとの信頼関係が既に強く、メンバーが全員「我先に」と前のめり状態の時です。)
もしくは1+2のパターンで、誰にお願いすれば良いのか、送り先の相手の事を分かっていない為に宛先を書けないパターンもあります。この場合は、傲慢ではないでしょうが、相手を知らない(知ろうとしない)為、人に指示をして動かしたり、統率する力は無いと言えます。
原因としては1と2が殆どではありますが、宛先が書いていない場合、3と4もセットの場合が良くあります。 例えば、「イベント情報」や「参考資料」など情報のみの共有です。これは1+2+3+4のフルセットの可能性が高いです。その情報を受けて、誰に何をして欲しいかまで伝え方を加工していないと、大概は誰かが行動するまでには繋がりません。
コミュニケーションツールは更に便利に強力になっていくと思いますので、自戒も含めてツールの使い手としての伝える力(=相手を知る・興味を持つ力)を日々向上させていこうと思います。