ホテル管理アプリである「HoteKan」を開発している中で、プロダクトを創ることに徐々に集中をしていくと、どんどん開発者ベースの視点で「この機能もあった方がいいのでは」「こうしたカッコいいデザインがいいよね」とか入り込んでしまっている事に気づきました。
俗にいうところの「プロダクトアウト」的な発想ではありますが、作業者(開発者、エンジニア、作り手)にとっての日々の達成感が得られる終わりなき旅(3ヵ月でこの機能を追加させる→達成→次は〇〇を…)に突入してしまう恐れがあるのです。
特にスタートアップベンチャーの場合は、既存の顧客に対するサービスではない(新しいプロダクトを新しい顧客に提供する)為、「誰にとって」「何が嬉しいか」が明確ではないまま、作り手の妄想領域が暴走してしまう可能性が高くなるのです。
そして最終的に起こる惨劇が、「誰も欲しくない商品を長い時間とお金をかけて作り続けていた」という悲しい現象です。
この現象が起きると、ベンチャーを立ち上げたトップは、「終日、部下を忙しく働かせてお金を使っただけだった」とは到底考えることはできず、「こうやっては上手くいかないという良い勉強になった」「こうした新しい領域に関する学びがあった」と「学び」という目標達成を失敗した時に作る言い訳をするしかないのです。ただ、社員や投資家からすれば「時間をかけて何も得られかった」という結果になるだけです。
こうした悲しい「学び」という慰めをしない為に、気を付けるべきは、
きらめくような仮説と戦略とホワイトボードに描かれた駆け引きや戦略ではなく、顧客が本当に望んでいることを見つけ出し、その望みに製品やサービスを合わせていくという地道な作業を怠らない
という事です。
間違っていけないのは、顧客から何が欲しいかをオープンクエスチョンで聞いて、それをそのまま望み通りに作るということではないことです。
こちらが考えるビジョンに沿って、「顧客が本当に望んでいる事を見つけ出す」のです。その上で実際に使ってもらいながら改善を繰り返し、顧客に製品を合わせていくのです。
顧客について理解を深めていく事で、作業者(エンジニア、作り手)は「何が一番顧客が願っていることか」「逆に何を作る必要がないか」を把握することができ、無駄な妄想資料作成や不要なプログラミング作業をしなくても済んでいき、生産性の向上が飛躍的に増すのです。