その後、ひょんな縁から東京のFintech会社の立ち上げを手伝うことになり、Web制作・システム会社のFRINGEと名古屋のホテルと清掃会社に追加して、東京のFintechベンチャー会社の役員を兼任することになりました。今どき副業が当たり前とは言え、異なる事業を4つ持つのはなかなか無いことと思います。
名古屋のホテルだけは既に会社として運営されていたものですが、それ以外の3つの会社は全て一から立ち上げるベンチャー企業でした。
先の記事にも書いたように、ホテル運営に関しては「プロジェクト思考」よりも「サステイナブル思考」にて、急激ではなく徐々にそしてスタッフ自らが自然に改善していく仕組みを作っていき、如何に継続的に運営できるかが重要になりました。
また、清掃会社に関しても、案件は基本的に継続的に責任を持って受け持つ形になるので、同じく日々改善され、継続できることが重要となります。
ただ、一方で東京のFintech会社に関しては、「サステイナブル思考」ではなく、「スケール思考」でなければいけませんでした。つまり、多額の出資を得る代わりに、広範囲のマーケット(大量のユーザ数)を凄まじい勢いで勝ち取ることが重要な「スタートアップ」企業だったのです。
自分の場合は、性格上、地味な積み上げ形式なタイプでもあり、自身で創業した会社は全て「中小企業」としてのベンチャー企業でした。当然、出資金は自らの元手のみで始め、成長に必要なお金は出資ではなく、銀行からの借入によって賄っていました。
その点、東京のFintech会社は、ベンチャーキャピタルや大手の金融機関から多額の出資金を獲得し、キャッシュフローや損益収支よりも、とにかくスケールする(利用ユーザー数と社内人材の獲得)ことが最優先事項でした。
初めの頃は、「スタートアップ」の意味が全く分からず、これで良いのだろうかと悩んだりしたこともありましたが、完全に性質の違う会社なのだと理解してからは、方向性や施策の違いが納得できました。
ベンチャー企業と聞くと、全て「スタートアップ」企業のイメージを持たれがちですが、「中小企業」も一つのベンチャー企業の在り方だと思います。
ですので、「ベンチャー企業に転職する」という方は、「自分はスタートアップベンチャーに転職する」のか、はたまた「中小企業ベンチャーに転職するのか」を明確に理解した上で入社された方が、本人・会社双方にとって幸せなのではないかと常々思います。