具体的な絵に落とせるか、評論家で止まるか

人の思考の仕方は、その人と話をしていても見えてくるものです。
大きく下記の2分類があるかと思います。

1.テキストと数字で考える人
2.ビジュアルで考える人

私は、2のビジュアルで思考するタイプです。1のテキストと数字で考えるのが苦手で、コンサルティング時代は大変苦労しました。
また、思考の論理性のタイプも分かれると思います。大きくは4つに分かれます。

.論理は特にない人:主観的・感情的タイプ
2.演繹が得意な人:評論家・官僚タイプ
3.帰納が得意な人:工学系・科学者タイプ
4.仮説的思考が得意な人:発明家・ベンチャータイプ

1の「論理がなく思考する」パターンは、どの人も通常の日常生活ではよくある事だと思います。例えば、「何だか今日は中華料理が食べたいなー」や「この人何だか苦手なタイプだなー」など明確な論理はないけれど、無意識の自分なりの論理が働いて考える時です。ただ、これが仕事においても同じように思考する人は、常時1のパターンと言えます。

2の「演繹が得意」な思考の人とは演繹的に一般解から物事を判断するのが得意な人です。
そもそも演繹とは、「一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法」のことで、マクロからミクロに当てはめるイメージです。

例えば、「人は必ず死ぬ」という前提知識から「私は必ず死ぬ」も当てはまるといった感じです。演繹の良さは、一つの普遍的な規則を用いれば、比較的に思考をショートカットでき、楽に判断できる点があります。

ただ一方で、間違った知識を普遍的な規則だと勝手に思い込んでいるものがある場合は、変な判断を色々な所で永遠に続ける場合があります。

例えば、戦時下の「貯金はとても良い事で安心安全」などのPRが未だに正しい前提知識として拡がってしまうと、その前提知識が正しいとなり、資産運用を個別に考えていても「貯金が一番だよね」と特に何も考えずに判断してしまうようになるといった感じです。

逆に、正しい理念や思想をマクロに置き、正しくミクロ(事業や行動指針)に展開できれば、新しいことはできないかもしれませんが、着実に仕事を遂行できるタイプ (官僚タイプ) と言えます。ただしその場合は、常にマクロの前提知識を最新版にアップデートし続ける必要性があります。

3の「帰納が得意」な人とは、具体的な事例からそれを一段抽象化して一般化するのが得意な人です。演繹とは逆の方向になります。ミクロからマクロを導きだすイメージです。

一事例を用いて、それは一般化できるのではないかと考える事です。例えば、「Aさんも死んだ」「Bさんも死んだ」「Cさんも死んだ」から「人は皆必ず死ぬ」と導く感じです。

これは、論理的にはまだ明確にはなっていないけど、どの飛行機もジェットエンジンでプロペラを高回転させ、特定の形状の飛行機で高速で移動すると浮力が働き飛ぶことが出来るので、同じように作ればどの飛行機も飛ぶといった工学的な発想に近いかと思います。

帰納的な思考は、マクロの新しい論理を作る上でも非常に大切な方法だと思いますが、4の仮説的思考よりも検証としての数量が必要となってくる為、時間がかかる恐れがあります。

その4の「仮説的思考が得意」な人とは、色々な実体験やデータを基に「こんなことが言えるじゃないか」と結論(仮説)を見つけ出し、その、検証と実証を実施できる人を指します。

これはまさに、PDCAの発想に近いです。「P:Plan」で仮説を出し、「D:Do」で実際にやってみる、「C:Check」で検証してみて、「A:Action」で違うならやめる、合ってそうなら改善して更に「P:Plan」改善仮説を出す。

この4のパターンの人は、ベンチャーに向いていると思います。何もない所から作っていく上で、仮説と行動がセットになっているマインドの人は必須だからです。

更に言えば、「2.ビジュアルで考える」×「4.仮説的思考が得意」な人は、推進力が非常に高いと思います。2が欠けていると、どれだけ「仮説」と「行動」がセットになっていても、ビジュアル化できない為に複数の人達に同時に上手く伝える事ができず、1人で職人のように作るしかないからです。

逆に言えば、「1.テキストで考える」×「2.演繹が得意」な人は、ベンチャーや新規事業には向かない気がします。演繹的に新しい事を作ろうとすると、どこかで拾ってきた法則やルールに基づいて論理を作っている為、新鮮味もなく二番煎じ感が強く、更にビジュアルのイメージもないため、誰も具体的な形にすることが出来ません。こういうタイプの人の発言を聞いていると、その場限りのそれっぽいコメントを出す評論家としか思えません。

私も「ビジュアルで考える」×「仮説的思考」を意識しながら、来年新しい事業を世の中にどんどん出していければと考えております。

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