アカウンティングとファイナンス

まだまだ続く、新型コロナウイルスの影響ですが、3月いっぱいはどこも自粛ムードになりそうです。この状況が続くことで各企業の財務状況が厳しくなってきています。

特に中小企業の場合は、「キャッシュ」(資金繰り)の問題です。長引けば破産(倒産)する企業も出てきてしまいます。そもそも破産とは、残預金がなく支払が出来なくなり、債務がオーバーし、債務整理を行うことを指します。

つまり、赤字だから破産するのではなく、キャッシュがないため破産するのです。逆に言えば、赤字がどれだけ続こうが、企業にキャッシュがあれば破産しません。

これ(キャッシュ)を測定するものがファイナンスです。一方で、アカウンティングは「利益」を測定するものになります。このファイナンスとアカウンティングを理解する上で、前提となる下記の理解が必要です。

企業はキャッシュ増幅装置

それは、「そもそも企業とはキャッシュを生み出す装置」であるという理解です。「1」のキャッシュを企業という装置に突っ込むとどれだけキャッシュが生み出されるのか、「10」のキャッシュが出てくるのか、「1」のキャッシュしか出てこないのか、はたまたキャッシュが出てこないのかが重要になるのです。

まさにアカウンティングはその装置の生産性を測るものさしです。
一方、ファイナンスは、装置に突っ込むキャッシュをどれくらいにしたらいいかや突っ込んだキャッシュを変える事でそこからどれくらいのキャッシュが出てくるかを測るものさしになります。

アカウンティングとファイナンスの主な用語

具体的には、アカウンティングで出てくる用語として、「PL」「BS」「CF」がありますが、それぞれの意味合いを理解しておく必要があります。

PL: 月間(年間)打率 ⇒計算で出されるもの
BS: 生涯通算打率 ⇒計算で出されるもの
CF: 現金を生み出せているか ⇒計算ではなく現実としてどうか

一方、ファイナンスで出てくる用語として、「ROA」「ROIC」「ROE」「WACC」「企業価値」がありますが、それぞの意味合いとしては下記になります。

ROA: 突っ込んだキャッシュに対して、いくら事業から利益があるか【営業利益/総資産】
ROIC: 事業用に突っ込んだキャッシュに対して、いくら事業から利益があるか【営業利益/事業投下資産】
ROE: 自己資金(株主資金)に対して、いくら純利益が出るか【純利益/自己資本】
WACC: 会社の資金調達に伴うコスト【借入での調達の方が出資よりもローコスト】
企業価値: 今後、事業でどれだけ利益を出し続けられるか+事業とは関係のない直ぐにキャッシュになる額【事業価値+非事業価値】 ⇒有利子負債+株主価値

アカウンティングとファイナンスはどちらか一方だけ理解していても、企業という装置の性能をアップさせるには片手落ちになります。また、冒頭の話にもあるように、装置の性能が高く利益率が高かったとしても、突っ込む材料であるキャッシュが無ければ、装置は止まり、結果破産になってしまいます。

まずは装置(事業)を潰さない為にキャッシュの確保、次に性能(利益率)という順番で、ファイナンスとアカウンティングを理解して、この混迷の市場を乗り切る必要がありそうです。

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