マーケティングと因数分解

会社規模や狙う市場、はたまたビジネスタイプや流通方法によって、マーケティング手法や考え方の適用方法を変えなければいけないと「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」というUSJを再建した森岡毅氏の本を読んだことで気づきました。

この本では、マーケティングを因数分解し、更に確率計算とモデル式を用いて、予測と検証を行う内容が書かれていました。非常に分かりやすく、これまでマーケティングが広告手法の総括的な意味合いくらいでしか捉えていなかった自分としてはとても勉強になりました。

「好意度」 ×「認知」×「配荷」

売上は 「好意度(他の商品と比べてイケてると思うか)」 ×「認知(その商品を知っているか)」×「配荷(簡単に購入、利用することができるか)」で構成され、更に「好意度」は「ブランドエクイティ」×「価格」×「商品性能」によって決まると説明されていました。(ブランドエクイティは更に「ブランドロイヤルティ(ブランドに対するこだわり)」×「ブランド認知(ブランドの識別性)」×「知覚品質(客観的な品質ではなくユーザーの主観的品質)」×「ブランド連想(ブランドに関するイメージや体験等)」に分解できます。)

消費財マーケティング手法の一部を実践しても効果は出にくい?

確かに、P&GやUSJなど対象とするユーザーが国内全ての人に適用できる場合、この数式をベースに、どれだけシェアを取り合えるかでおおよその数値が計算されうると思います。また具体的にどの項目に投資していくかが、まさに経営戦略となります。

ただし、上記の内容を誤った認識で理解すると、時に一部の項目だけの部分最適化(例えばブランドを強化しよう、価格の最適変動をさせよう等)にはまってしまったり、会社規模や狙う市場が異なることで上手く活用できなかったりします。例えば、商店街にある八百屋さんにいきなりこの数式を当てはめることは難しいです。

消費財マーケティングの数式の順番を工夫する

ただ、乗算の順番を変えれば、それが汎用的に利用できるようになると思いました。
「配荷(KBFにマッチしているか)」×「認知(KBFにマッチしている中から探したら出てくるか)」×「好意度(探して出てくる中から比較し、その中でイケてるものはどれか)」という順番にすれば、どのビジネスにおいても適用可能になります。

KBFという単語は以前紹介しましたが、Key Buying Factorの略で購入するときのユーザーが商品を購入する際に決定的な重要要素のことです。

例えば、私が運営しているホテルの例で言えば、出張先の会社に近いかどうかや、工事関連で宿泊する際に大型トラックが置ける駐車場があるか、出張経費内に収まる宿泊費か、などです。
商店街の八百屋さんの場合で言えば、家から近いや帰宅途中に立ち寄れるか、他のスーパーよりも安いか、新鮮か、などです。

KBFにマッチしていなければ、そもそも購入されることがありません。この「配荷」によって、ターゲットとなる市場はビジネス毎によって規定されるかと思います。(宿泊施設専用アプリのHoteKanを、一般の主婦の方が欲しいということは絶対にありません。)

「配荷」⇒「認知」⇒「好意度」

「配荷」でそのビジネスの市場規模が決まり、そこから「認知」で検索に引っかかるように適切なターゲットに周知し、「好意度」によって、その比較検討される競合の中から選択されるようにすることが正しい順番となります。

ですので、具体的にマーケティング戦略を練る場合は、現ビジネスの「配荷」範囲はどこまでか、そしてその配荷すべきユーザーに認知される施策(広告宣伝)を取っているか、そこで比較される競合は誰で、その競合に対してブランド力、価格、性能で勝てているのかを論点として考えていく必要があります。

どこかのプロセスで欠陥があれば、ユーザーはあなたのビジネス(商品)ではない他のビジネス(商品)を選択している可能性が高いです。逆に言えば、このプロセスの中で各項目を適切なパラメータ―で運用していれば、他のビジネス(商品)よりも選ばれる可能性が急に高まるという事でもあります。

ニーズを持った人がいないビジネスにおいて、「認知」と「好意度」を上げる施策を散々しても何も効果が産まれないのは当たり前ということです。

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