前回の記事「文字の発明とメンテナンス」で文字によって外部記憶装置ができたこと、そのアナロジーを使ってアナログの世界をデジタル(文字・抽象化)へ昇華させるHoteKanの紹介をしました。
この時、「読んでもらえる(記録する)為に書く」というのは簡単ではないと書きました。更に、その理由は習慣になっていないからだとも書きました。ただ、本当にそうなんだろうかと、その後考えるようになりました。
ちょうどその時、SHOWROOM株式会社の前田裕二さんの書いた「メモの魔力」がヒントになるかもと読んでみました(タイトル的にも文字と記録の内容が書いてあるはずと思ったからです)。その本からバッチリ答えを得る事ができました。
「解くべき課題」を明確に持っているか?
「さあメモを、抽象化を始めよう!」と意識が変わるのは思考癖としてはいいですが、その人自身に切羽詰まった問題意識、すなわち転用すべき他の具体課題がないと、単なるゲームで終わってしまうということです。
メモの魔力
正にこれが答えでした。
習慣として記録する前に、何を記録するのかの課題、つまりは意味や意義がなければ、そもそも記録するべき対象が目に入らないのです。
実際に、HoteKanに入力できる清掃責任者さんというのは、「ホテルの客室の異常や問題、汚れなどを直したい」、「今日泊まられるお客様が快適に過ごせるような環境にしておきたい」という課題意識を明確に持っていた人だったのです。
一方で、課題は特に持たずに毎日決まったことを行うという意識の人は、イレギュラーな汚れや異常などに対して無意識にスルーしてしまっており(問題と認識できず)、HoteKanに入力することが出来ませんでした。
文字を生み出すには、ビジョンが必要
「記録をすることは大事」、「メモすることは次への飛躍」、と声高に叫ぶ前にやるべきことは「日々の課題設定」だったのです。
そしてこの課題というのは、「あるべき姿」である目標のゴールイメージがなければ発動しません。
つまりはビジョンです。更にそのビジョンを文字にする、明示化することが非常に重要です。
HoteKanを通じて、どういうホテル管理があるべき姿なのか、これが自然と考えられる(課題を想起させる)アプリにするにはどうしたらいいか、更に改良したいと思います。