プロジェクト型の仕事をする場合、よく聞かれる言葉に「スコープ」があります。
スコープという言葉は、「プロジェクト」で使われる場合と「プログラミング」で使われる場合があります。
何れも「範囲」という意味ですが、特に「プロジェクト」における「スコープ」の意味は非常に重要なものになります。
プロジェクトにおいて、プロジェクトマネージャーが一番初めに行うことは「スコープ」の定義です。これをしないプロジェクトは必ず炎上します。(もしくは単に人力サポートプロジェクトです。)
スコープで決めることは、「1.扱う対象範囲」「2.論点」「3.制約条件」の3つです。
一つ目の「扱う対象範囲」は、例えば「営業」や「製品開発」などの機能的範囲や事業部門が多い場合は「エネルギー事業部」や「建材事業部」などの事業的範囲もあります。他にも個別商品やサービスの対象範囲を絞る場合もありますし、狙う市場を「国内のみ」「欧州」「アジア」「米国」などで絞る場合もあります。いずれにせよ、この一つ目の「扱う対象範囲」を明確にしておかないと、期間内でプロジェクトが収束することはありません。
二つ目がプロジェクトの最終成果物を規定する「論点」です。論点とは、プロジェクトのそもそもの目的とゴールを規定し、そのゴールに向かうステップアプローチを明確にしたものです。
三つ目がプロジェクトの期間や人・お金といったリソースの条件にあたる「制約条件」です。制約条件を考えずにプロジェクトを走らせると、期間や人やお金がダラダラ追加されていく可能性が高くなります。
具体的にどのようにスコープを決めるかというと、例えば「今よりも痩せたい」というプロジェクトがあった場合、「1.扱う対象範囲」は「私」、「2.論点」は「体重を5kg、体脂肪率を3%落とすにはどうすれば良いか?」というゴールを規定し、「どういった食事内容でどのように変えるのか?」「どういった運動をどれくらいの頻度で実施するのか?」といったゴールに向かうステップアプローチを明確にして、「3.制約条件」として「期間は3ヵ月」、「仕事は変えない」、「お金はかけない」という条件をつけて始めるようなイメージです。
つまりは、スコープを決めないと、「今よりも痩せたい」といったプロジェクトですら実現できないという事です。
ただスコープを決めるというのは、それほど簡単ではありません。スコープの範囲を絞れば絞る分だけプロジェクトは実行しやすくなりますが、とても些末な改善で終わる可能性が高くなります。一方、スコープの範囲を壮大なものにしてしまうと、永遠にゴールの見えない俗に言う「デスマーチ(死の行進)」に突入します。
プロジェクトマネージャーがスコープを決めない場合は、やばいと思ってください。(とはいえ、アサイン拒否できない状況もありますよね。。)