コロナが教えてくれた事

新型コロナウィルスの影響が国内に出始めて、既に5ヵ月が経とうとしていますが、宿泊業に関しては以前として壊滅的な状況が続いています。

Go toキャンペーンに関して、当ホテルも正式に適用可能な事業者として登録されましたが、予想通りOTAでの値引き表示は27日には間に合わず、現状お客様からGo toの問い合わせをされることも1日数件程度です。

全国に100店舗ほど運営しているビジネスホテルチェーンも、清掃業者に3ヵ月以上支払がされておらず、業者も逃げ出して、まともに清掃されていないという話も聞くようになりました。そのホテルチェーンは家賃もオーナーさんと半額交渉したにも関わらず支払をしていない状況のようです。

苦しいのはホテルチェーンだけでなく、どこのホテルも予約が入らない為、1泊3,000円など破格の安さで売っている所が多く、業界間でひたすら潰し合いをしている状況です。

今年1年は人の移動も期待できず、来年の夏まで体力が持たないホテル運営会社(もしくは本業が別にある企業)は、ホテルや旅館を手放すしかなくなってきそうです。

Go toキャンペーンは中小のホテルや旅館を救うわけではなく、雇用を多く抱える大手旅行代理店や大手OTAを一時的に支援する施策の為、ここから加速度的にホテルのM&Aや売却、それが出来なければ閉館の話が増えてきそうです。

2つに分かれる宿泊事業者

こうした未曾有の事態が起きた時に、必要な事は確からしい1次情報(当事者から直接聞いたデータ)を集め、ざっくりとしたシミュレーションを行い、今できる打ち手を並べて、戦略的に順番に打っていくことしかありません。

当然ながら、全てが初めての対応になる為、コロナ対策を始めとしてどこまで何をやったらOKかも分かりません。その中で、各事業者として仮説を立てて、自身で調べ、実行する。

実際に、戦略的に進められているホテル運営会社の社長に会うと、この状況の中、2年後の新しい開発案件を見据えて情報収集しているとの事で、勝つべき所は勝つべき準備を十分にしているのだなと改めて思いました。

宿泊業の運営会社は大きく2つに分かれ、一つはそのような戦略的に打ち手を考え、業界の価格コントロールをリードしていく気概を持つホテル運営会社、もう一つは他の宿泊施設の戦略を受けて真似するかフォローして宿泊者のマーケットを分け合うホテル運営会社です。

前者の例としては、アパホテルや星野リゾートなど運営業態は異なりますが、どちらも自身で情報を集め、自社の戦略を先を見据えて進めています。ただ、実際は殆どの宿泊事業者は後者であり、自身で考えて判断し、行動することが苦手な印象です。

その為、ここ最近、数多くの若く頭も良く行動力のある人達が、この旧態依然とした宿泊業界に進出し、ベンチャー会社として参入したのです。(しかし現状、資本家からオシャレホテルを建てる為のお金だけをガッと集めて、既に建ててしまい、キャッシュも薄くなった状況の中、このコロナでランニングの売上がゼロに近くなり、ベンチャー系のホテル運営会社は軒並み存続の危機にあります。)

保守的業界に突如訪れた外的要素

今回のコロナのお陰で気づいたのは、コロナ感染防止対策、持続化給付金、雇調金・教育訓練、Go toキャンペーン、融資施策など、自身で情報収集や実行に移せない人達は政府としても市場としても救う事はしませんよという残酷で当たり前の競争原理でした。

宿泊事業者の多くは、横並びでみんながやっていることをやればいい主義の為、今回の爆風の競争原理に巻き込まれると根こそぎ吹っ飛んでしまいそうです。そうした競争原理の中、前者の自社戦略を策定できる運営会社や不動産ファンドがバルクで売られる一部のお値打ちの施設を虎視眈々と狙っています。

Go toでも救えない保守的業界はこれを機にピリッとした新しい産業形式に変わっていくかもしれません。

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